2024年 4月 23日 (火)

2022年4月から大きく変わった「住宅ローン控除」...家買いたい人にどんなメリットが? 専門家が仕組みと内容解説!【2】(中山登志朗)

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   2022年も4月を迎え、コロナの感染拡大が収まらない中、そして、ロシアのウクライナ侵攻が続く中で新年度が始まりました。

   国の制度は、基本的に年度単位で改変されるので、毎年4月はさまざまな制度や仕組みが更新されます。

   不動産業界においては、住宅ローン減税制度が2022年4月から、年末元本の1%控除から0.7%控除へと控除率が引き下げられたのが大きな変化と言えるでしょう。

  • どうなる「住宅ローン控除」?(写真はイメージ)
    どうなる「住宅ローン控除」?(写真はイメージ)
  • どうなる「住宅ローン控除」?(写真はイメージ)

控除期間、元本の上限、年収上限を確認!

   <2022年4月から大きく変わった「住宅ローン控除」...家買いたい人にどんなメリットが? 専門家が仕組みと内容解説!【1】(中山登志朗)>の続きです。

   さらに、追加でお伝えしたい住宅ローン減税の変更点は、以下の3つです。

(1)住宅ローン減税の控除期間
   これまで一律10年と定められていた住宅ローン減税の控除期間が、13年へと引き延ばされました。昨年度までの新築住宅に対する13年控除は消費税10%増税に対する特例でしたが、今年度からは特例としてではなく恒常的に13年へと拡大されました。

   ただし、これは新築住宅が対象です。中古住宅は、これまで通り、10年に据え置かれていることに留意してください。
(2)元本の上限
   これも、今年度から実施される仕組みです。

   新築住宅のうち、長期優良住宅などの認定住宅は、年末元本の上限が5000万円。年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなるような仕様で建設されたZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス:通称ゼッチ住宅)は上限4500万円。現在新築マンションの7割程度を占めるとされる、省エネ基準適合住宅も上限が4000万円に、それぞれ設定されました。

   新築住宅でこれ以外の一般住宅の上限は3000万円、中古住宅は2000万円です。このように、高性能で環境負荷のより少ない住宅は、控除を大きくする、という国の意向が反映される結果になりました。

   中古で長期優良住宅やZEH住宅を購入しても、住宅ローン控除の元本上限が2000万円であることには得心がいきませんが、これは以降の制度改正(年末の税制改正大綱)に期待したいと思います。

   これらの制度変更により、単純計算すると新築認定住宅は13年で最大455万円、ZEH住宅は同409.5万円、省エネ基準適合住宅は同364万円、新築一般住宅は同273万円、中古住宅は10年で最大140万円の住宅ローン負担が控除されることになります(あくまで最大で住宅ローンの元本によって異なります)。
(3)年収上限
   これはこれまで通り、世帯所得上限が3000万円に据え置かれています。ただし、昨年度から緩和された新築住宅の面積要件である40平方メートル以上50平方メートル未満(間取図に記載されている壁芯面積ではなく、登記簿上の内法面積であることに注意してください)の住宅については上限が1000万円となっています。毎年の確定申告で、世帯所得が1000万円を超えた場合、その年は控除されないことにも留意しましょう。

手厚い「住宅購入支援」で、住宅購入は引き続き追い風

   このように、今年度からは住宅ローン減税の仕組みがより細分化されました。住宅の省エネ性能や住宅ローン元本上限、世帯の所得上限にも違いが設けられましたから、ご自身が購入を希望される住宅の「種類」や条件を正確に把握し、個別に異なる控除の仕組みについて理解しておく必要があります。

   また、この住宅ローン減税の仕組みにくわえて、住宅購入目的の贈与税の非課税枠が1500万円まで設定されており、さらには「こどもみらい住宅支援制度」も新設されていて(詳細は省きますが)、対象者には住宅購入などについて100万円~最大250万円までの補助金が支給されます。

   なお、中古住宅の購入者に対しては、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」によって、住宅性能を引き上げるリフォームを実施した場合に、補助金が支給される仕組みも用意されています。

   これらの手厚い「住宅購入支援セット」によって、2022年度も住宅購入に関しては引き続き追い風が吹いていることがご理解いただけたと思います。

   住宅ローン控除が引き下げられた、改悪だと悲観することなく、これらの制度内容を把握&活用することによって、住宅購入に向けてのハードルは確実に下がると思われます。今後は良質な(長寿命な)住宅を購入して適切なメンテナンスを実施することが、結果的に永く、そして、コスパよく住めるということになりそうです。

(中山登志朗)

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
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