2024年 4月 27日 (土)

プーチン大統領「経済制裁は失敗した」は本当か? エコノミストが指摘...ロシアに勝っても西側諸国の代償大きい理由

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将来、経済制裁に不満な国々がタッグを組む可能性

ロシアと中国は隣同士。中国は陸路の貿易で支援をしているのか?(写真はイメージ)
ロシアと中国は隣同士。中国は陸路の貿易で支援をしているのか?(写真はイメージ)

   ロシアが「抜け道」に使っているかもしれないという、中国独自の決済システム「CIPS」の仕組みについては、公益財団法人・国際通貨研究所総務部兼事業部部長の蔵納淳一氏のリポート「【ウクライナ危機】ロシアのSWIFT排除と代替決済ネットワークについて」(4月12日付)が非常に詳しい。

   図表4がそのシステムだ。詳細はリポートに譲るが、蔵納氏はロシアが制裁逃れにCIPSを使っているかどうかは、「これらの方式はあくまでも理論的なものであり、さまざまな課題がある」と、やや疑問視している。

(図表4)中国独自の決済システム「CIPS」の概念図(国際通貨研究所の作成)
(図表4)中国独自の決済システム「CIPS」の概念図(国際通貨研究所の作成)

   ただし、中長期的に見ると、今回の大規模な経済制裁に不満を持つ国々がタッグを組み、このCIPSなどを中心に、SWIFT(スイフト、国際銀行間通信協会)の国際決済ネットワークとは別のネットワークを活用する方向に移行する可能性が考えられるという。

「中央銀行デジタル通貨(CBDC)を活用するということも十分に考えられる。特に中国は、北京オリンピックでも実証実験が行われた『デジタル人民元』を活用することで、人民元国際化をさらに推し進めていく可能性がある。現在、中国人民銀行は、香港、タイ、UAE の中央銀行と協働で、中央銀行デジタル通貨クロスボーダー決済の実証実験の取り組みを進めている」

   ロシア中銀も、「デジタルルーブル」のプラッフォームの試験が成功したとしており、2022年中に、個人間送金や小売店での決済、金融仲介機関との連携などの試験運用を実施する予定だという。蔵納氏は、

「こうしたSWIFTネットワーク以外の決済網拡充を模索する動きは、将来的に国際決済ネットワークを二分化させ、国際通貨システムの安定を揺るがす可能性もあり、各国当局の動向を注視していく必要があろう」

と結んでいる。

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