2022年 8月 10日 (水)

「選挙目当てが過ぎる!」 岸田政権の緊急経済対策、新聞社説とエコノミスト総批判...「ガソリンより電気、ガスの対応を」の声も

モータースポーツの世界観を表現した『ECB-2000』
「選挙目当てが過ぎないか」「国民に痛みを我慢させる受け身の対策でしかない」

   岸田文雄首相は2022年4月26日、物価高を受けた緊急経済対策を決めた。しかし、主要紙の社説やエコノミストたちからは、総スカン状態だ。今年7月に行われる参議院選挙を優先させたため、抜本的な構造改革がおろそかになっているというのだ。

   いったい、どういうことか。主要紙の社説とシンクタンクリポートを読み解くと――。

  • 「参議院選挙目当て」との批判に岸田文雄首相はどう答えるか
    「参議院選挙目当て」との批判に岸田文雄首相はどう答えるか
  • 「参議院選挙目当て」との批判に岸田文雄首相はどう答えるか

「車社会である地方の票を意識したガソリン対策」

   報道をまとめると、緊急対策は4本柱で構成されている。主な内容は次のとおりだ。

(1)原油価格高騰対策(1兆5000億円)=ガソリンの小売価格の目標を172円から168円に引き下げ。石油元売り各社への補助金を1リットルあたり最大25円から35円に引き上げ。
(2)エネルギー・原材料・食料などの安定供給(5000億円)=電気自動車などへの集中的な導入支援。
(3)中小企業対策(1兆3000億円)=原材料費上昇を価格転嫁できるよう支援。実質無利子・無担保融資を9月末まで延長。
(4)生活困窮者への支援(1兆3000億円)=低所得の子育て世帯に子ども1人あたり5万円給付。

   この4本柱の中でもとくに、4月27日付の主要新聞社説で批判が集中したのが、(1)の原油価格高騰対策だ。

   毎日新聞「選挙目当てが過ぎないか」は、「(石油元売り各社への)補助金による値下げ幅はトリガー条項を上回る水準になった。時期も9月末まで延ばし、さらなら延長も検討する。選挙向けのアピールとしか思えない」としたうえで、こう指摘した。

「政府が市場に長期間介入するとゆがみが生じる。化石燃料の消費が減らず、省エネや脱炭素の取り組みにブレーキをかけかねない」
ガソリン代高騰の補助金引き上げは市場機能を失わせる(写真はイメージ)
ガソリン代高騰の補助金引き上げは市場機能を失わせる(写真はイメージ)

   日本経済新聞「整合性に欠ける物価高対策」も、「車社会である地方の票を意識した策だろう」としたうえで、「ロシアのウクライナ侵攻を背景にしたエネルギー高騰は収束がみえない。(中略)市場機能をゆがめる補助金を使った一時しのぎには限界があり、弊害も多い」と、何より正常な市場機能を壊しかねないことに懸念を示した。

   また、日本経済新聞は政府と日本銀行との間の政策の齟齬(そご)も問題視した。

   「政府が物価高対策を出す一方、日銀は十分に上がらない物価を底上げする強力な金融緩和を続ける。インフレ対応で大幅な利上げを構える米国との金利差が広がるのは自然な流れだ」と指摘。「岸田政権には持続性と整合性を満たした総合的な戦略を求めたい」と結んだ。

   同じエネルギーの高騰でも、ガソリン対策を手厚くしながら電気、ガスの高騰対策が不十分なのは不公平ではないか、としたのは読売新聞「燃料価格の抑制は限界に近い」である。

「電気やガスの料金も上がる中、レジャーにも使うガソリン価格だけを引き下げることを疑問視する声がある。高騰が長期化するのなら、燃料を多く使うハウス農家や運輸業、ガソリンが生活に欠かせない家庭などに絞った支援に切り替えていくことが必要ではないか」

と、代案を示した。

   産経新聞「価格介入はもはや限界だ」も、読売新聞同様に、「行楽客の自家用車使用なども一律で補助対象となるなど問題がある。国民負担も大きい」と、不公平さを問題視した。そのうえで、一時的な対策ではなく、総合的な対策を求めた。

「欧米各国は、資源価格の高騰に対応した総合的なエネルギー戦略の策定を進めている。日本も目先の価格対策ではなく、骨太の産業構造改革に取り組むべきだ」
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