2022年 12月 3日 (土)

NHK受信料制度強化「放送法改正」に怒りの声 英仏は受信料撤廃の動きなのに...スクランブル化はできないのか?

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   NHKの受信料値下げにつながる改正放送法が参議院本会議で2022年6月3日、可決・成立した。

   「受信料値下げ」ではあるが、受信料を支払わないと割増金を徴収するなど、さらに受信料制度を強化した内容だ。

   英国やフランスでは公共放送の受信料を撤廃する動きがトレンド。ネットでは「NHKをスクランブル化に」と怒りの声も起こっている。

  • 東京都渋谷区のNHK放送センター
    東京都渋谷区のNHK放送センター
  • 東京都渋谷区のNHK放送センター

値下げにあたっては地上波よりも衛星放送優先

   NHK受信料の値下げ原資を確保するための積立金制度の創設などを盛り込んだ放送法と電波法の改正法が3日の参院本会議で可決、成立した。正当な理由なく受信料を支払わない世帯への割増金の徴収も可能となる。

   報道をまとめると、成立した改正放送法の主な内容は次の通りだ。

(1)NHK受信料の値下げの原資とする「積立金制度」を導入する。

(2)テレビを持ちながら、正当な理由なく、期限までに受信契約の申し込みを行わない世帯に対し、NHKが新たに割増金を徴収できる制度を導入する。

(3)子会社の業務の効率化を図るために、NHKが中間持株会社を新たに保有できるようにする。

(4)民間の放送事業者の外資比率が20%以上になると、違反状態になるが、直ちに認定取り消しとせず、是正させる猶予措置を設ける

などだ。

   重要なのは(1)の受信料値下げにつなげる「積立金制度」だが、NHKの収入が支出を上回った場合、一定額をプールする仕組み。これまでの国会論議などでは、年間受信料収入の1割に当たる700億円程度の原資を確保し、2023年度に受信料を下げる計画で、今年秋に具体的な内容を示すという。

   NHKの前田晃伸会長は昨年2月の記者会見では、「衛星契約は割高感があり、地上契約との格差をまず解消するのが先」と発言。値下げにあたっては、地上波よりも衛星放送を優先する方針も示している。

フランス、受信料廃止はマクロン大統領の選挙公約

テレビ離れで、パソコンでドラマを見る人も(写真はイメージ)
テレビ離れで、パソコンでドラマを見る人も(写真はイメージ)

   また、(2)の新たに導入された受信料不払い世帯に対する割増金制度も重要だ。今年4月の衆議院総務委員会での質疑では、総務省の吉田博史情報流通行政局長は、割増金制度導入について、

「受信設備を設置した人の約2割が受信料を支払っておらず、不公平が生じていることを踏まえ、受信料の適正かつ公平な負担を実現する観点から導入するものだ」

などと述べ、理解を求めたのだった。

   一方、ヨーロッパでは、動画配信サービス普及などメディア環境の激変によって、公共放送の「受信料」を撤廃する動きが進んでいる。英国政府は4月28日に発表した放送政策に関する白書の中で、公共放送「BBC」の受信料の一律徴収が2028年には終了する可能性を示唆した。

   フランスでも、複数ある公共放送の受信料廃止は4月に再選されたマクロン大統領の選挙公約でもあった。仏紙フィガロの報道によると、5月11日に行われた閣僚評議会で受信料廃止方針が示されたという。フランスでは、受信料は住民税とともに徴収されてきたが、2023年から住民税が撤廃されるため、今後の公共放送受信料のあり方が議論となっていたのだ。

「災害報道の面でスクランブル化は問題がある」

   こうなってくると注目したいのは、値下げをするとはいえ、英仏の公共放送とは真逆に「受信料徴収強化」の動きを見せる日本政府とNHKのスタンス。ヤフーニュースのヤフコメ欄では疑問の声が相次いでいる。

「公共の福祉に反しない限り、基本的人権を保証すると憲法に書いてある。契約とは両者の合意の元、初めて成立すると民法に書いてある。生きるためには絶対必要な水道ですら契約の自由があり、契約は本人の意思だし、お金を払わなければ止められて終わり、命に関わるにも関わらず、である。なぜ放送法だけが憲法、民法より優先されるか理屈がまるで通らないし、警察ですら裁判所からの令状がなければ一般人に何かを強要することはできない」

と、契約の自由の面から受信料制度を疑問視する。

   また、NHKにスクランブル化を求める声が圧倒的に多かった。スクランブル化とは、放送電波を暗号化し、契約して解読する装置がないとテレビ番組が見られないようにすること。「受信料を払う人だけがNHKを見られて、見ない人は払わない」仕組みだ。

「2023年度に受信料下げる計画? もう何年この議論しているんだか。(中略)6月からいろんなものが値上げされ、国民の大半が疲弊しているのに。NHK料金なければ、毎月の食費、光熱費へ負担できるのに、もう議論じゃなくすぐに料金半額下げるか、スクランブル化して、見たい人が料金払えばいい」

   しかし、NHKは公式サイトにある「よくある質問集」のなかで、「なぜスクランブルを導入しないのか」についてこう説明している。

「(NHKは公共放送として)緊急災害時には大幅に番組編成を変更し、正確な情報を迅速に提供するほか、教育番組や福祉番組、古典芸能番組など、視聴率だけでは計ることの出来ない番組も数多く放送しています。スクランブルをかけ、受信料を支払わない方に放送番組を視聴できないようにするという方法は一見合理的に見えますが、NHKが担っている役割と矛盾するため、公共放送としては問題があると考えます」

「災害時にはSNSのほうが役に立つ」の声

NHKはスクランブル化しない理由に「災害報道」を挙げる(写真はイメージ)
NHKはスクランブル化しない理由に「災害報道」を挙げる(写真はイメージ)

   このNHKが重視する「災害時の放送の利点」については、こんな指摘が――。

「東日本大震災の時にも感じましたが、NHKが無くても困りませんでした。というのも、多くは全国向け放送ばかりで、各地域に必要な情報をテレビで伝えるのは難しいと感じましたから。輪番停電だって結局ホームページで調べたので、テレビから得た情報は、被害情報を除き少なかったです。その被害情報にしてもNHKである必要は感じませんでした」
「災害時の速報も、スマホ、SNSの登場で陳腐化してしまった。電車に閉じ込められながら、震源や地震の規模、みんなの声を収集できるとか、NHKにはできない芸当。自然科学系の番組はいいものを作るので、専門チャンネル化したほうがいいんじゃないかな」

   こういう見方もあった。

「今の制度のままNHKが受信料を取り続けると、テレビを持たない家庭がますます増えて、間接的に民放に対する営業妨害になるのではないか」

   受信料制度を維持すると民放にも影響する、という指摘だ。

   一方で、こんな理由から、受信料制度を支持する意見もあった。

「テレビがなくても情報得られる人たちばかりじゃない。そしてNHKの災害報道は、そういうネットを使えないような世代こそ避難に時間がかったりするので必要になる。それなら見たい人だけ金を支払えばよいというのが自然だが、全国規模の災害報道を一部の人だけの契約料だけで賄えるかは分からない。(中略)そして何より、日本はそういうNHKを必要としている世代のほうが、圧倒的に投票率が高い」

(福田和郎)

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