2024年 4月 24日 (水)

30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら...投資に向いているタイプとそうでないタイプ【その3】(小田切尚登)

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   明治大学の経営大学院(MBAコース)で金融論を担当している。その中で毎年、以下の問いを学生に毎年出している。

「親戚の金持ちのおじさんが亡くなり、30歳のあなたに1億円の財産が舞い込んできました。これをどのように運用していきますか? その内訳をざっくりパーセントで示してください。あなたは借金がなく、定収入もあるので、この1億円には手を付ける必要がない、という前提で回答してください。」

   学生の回答を見て感じた三つ目のポイントはこれだ。

  • 株式や不動産への投資配分が大きいと市場の価格変動で過大な影響を受けてしまう
    株式や不動産への投資配分が大きいと市場の価格変動で過大な影響を受けてしまう
  • 株式や不動産への投資配分が大きいと市場の価格変動で過大な影響を受けてしまう

「価格変動が大きい資産への投資は抑えるべき」

「株式や不動産のような価格変動が大きい資産への投資は全体の半分以下に抑えるべき」

   ハイリスクへの投資に多くを配分するようなポートフォリオは、市場に大きな変動があった時に過大な影響を受けてしまう。価格の下落にどの程度耐えられる分配になっているかを常に考えておく必要がある。

   株式や不動産は暴落することが、ままある。近年のS&P500(米国の大企業500社の株価指数)の動きを見ると、2000~02年(ネットバブルの崩壊)と、2007~09年(リーマンショック)の2回、半分に下がっている。我々は十年とか二十年に一度くらいは、株価が半値になる可能性があると想定をしておく必要があるということだ。

   このところ、米国の株価は下落傾向にある。S&P500は年初から1割以上下がった。これから、さらにどうなっていくかは神のみぞ知るところであるが、米国の景気がかなり不透明になってきたことと、それまで十年以上に渡り上昇を続けてきたことを考慮すると、今後さらに大きく下がっていくというシナリオも当然考えられるところだ。

   こういう変動が大きい投資商品に持ち金の半分以上をつぎ込むというのはリスクが高い行為だ。仮に株式や不動産に1億円の半分、すなわち5000万円を投資したとする。それが半値に下がったとすると2500万円を失うことになる。相当な損失額である。

   それでも残り半分の5000万円がほぼそのまま残っているはずであること、そして下がる時もあれば上がる時もあることを考えると、中期的なスパンで考えれば許容範囲だとみなすことも可能であろう。ある時点で全体の価値が1億円から9000万円や8500万円とかに下がったとしても、仕切り直しをしていくことができれば良い。

   それがOKだと思えば、資産の半分を株式や不動産に配分しても良いだろう。しかし、自分にはそのくらいの一時的な損失も耐えられない、ということであれば、ハイリスクな投資を半分でなく4割とか3割とかに減らしていく必要が出てくる。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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