2024年 4月 26日 (金)

「給料満額で休みだけ増える!」 英国で「夢のような」週休3日の実験が始まった!(井津川倫子)

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   お給料はそのままで、休日だけ増える...。そんな「夢のような」働き方の実験が英国で始まりました。

   2022年6月に開始された「週休3日制」の試験的プログラムに、過去最大規模となる70社約3300人の労働者が参加。フィッシュアンドチップス店から大手金融機関まで、バラエティに富んだ企業が「賃金はそのままで労働時間を短縮する」という壮大な実験に、6か月にわたって取り組んでいるのです。

   名門大学ともコラボしたこの企画。結果次第で私たちの働き方も変わるのか...。「週休2日制」を生んだ英国での実験を、世界中がかたずをのんで見守っています。

  • 英国でおこなわれる「週休3日制」実験には約3300人が参加(写真はイメージ)
    英国でおこなわれる「週休3日制」実験には約3300人が参加(写真はイメージ)
  • 英国でおこなわれる「週休3日制」実験には約3300人が参加(写真はイメージ)

8割の労働時間で満額賃金「ラッキーな3300人」に世界が注目

   英国といえば、週5日働いて土日に休む「週休2日制」が始まった国だとされています。近年、注目を集めている「週休3日制」については、これまでもニュージーランドやアイスランドなど各国でトライアルが行われていましたが、今回の英国での実験は過去最大級の規模で行われることから、世界中の注目を集めています。

The world's biggest 4-day work week pilot just launched in the UK
(世界最大規模の『週4日労働』の実験がイギリスではじまった:米国メディア)
4-day work week:週4日労働、週休3日

   じつは、英語で「週休3日」は、「4-day work week」(週4日労働)と表現します。日本語のように1週間のうち「3日休む」ではなく、「4日働く(3日休む)」と表現することに驚いた方も多いのではないでしょうか?

   今回の実験で特に注目を集めているのは、「給料の減額は行わない」ことです。実験を主催している非営利団体「4デーウィークグローバル」は、「100%の生産性を維持する代わりに、労働時間を従来の80%にし、100%の賃金を支払う」という「100-80-100」モデルを提唱しています。

   今回は、「従来の80%の労働時間」で「100%の賃金」を得た場合の影響を、「仕事と生活の満足度、健康、睡眠、ストレス、エネルギー消費など、さまざまな側面から調査する」のが目的とのこと。

   あまりの「好待遇」に、地元メディアも「For thousands of lucky people, the work week is only four days long」(ラッキーな数千人にとって、勤務日はたった4日間だ!)、と参加者をうらやむような報道。

   とはいえ、この実験が成功したら自分たちも「lucky people」(ラッキーな人)の仲間入りができることから、「It's not necessarily an impossible dream」(週休3日は、もはや不可能な夢ではない)と、希望あふれるトーンで見守っているようです。

   6か月にわたる実験には、オックスフォード大学やケンブリッジ大学などの名門大学も参画。「週休2日発祥の国」のプライドをかけて(?)、産学共同で働き方改革に取り組むようですが、我々の将来のためにも、実験に参加する3300人の「lucky people」(ラッキーな人)の頑張りに期待したいところです。

なぜ、英語で「週休3日」は「週4日労働」なのか?

   コロナ禍によるリモートワークの普及や人々の価値観の変化が「4-day work week」(週4日労働)の実験を加速させていることは間違いありません。英国よりも一足早く実施したアイスランドでは、「働く人々に多くの心理的メリットがありながら、生産性の低下にはつながらなかった」と報告されています。

   「4-day work week」(週4日労働)で、「働く人のストレスが減って生産性が低下しない」となれば、喜んで満額賃金を支払う企業も増えることでしょう。私たちの生活が劇的に変わる日は、意外と近いかもしれません。

   それにしても気になるのが、なぜ、英語では「週休3日」ではなく「週4日労働」と表現するのか、ということです。

   20世紀初頭の英国貴族社会の内幕を描いた大人気ドラマ「ダウントン・アビー」で、貴族社会を代表する先代伯爵夫人(マギー・スミス)が、中流階級の弁護士(ダン・スティーブンス)に「What is a weekend?」(週末って何のこと?)と尋ねたセリフが話題になったことがありました。

   働いたことがない貴族にとって、仕事を休む「週末」という概念が理解できないことを象徴したセリフでしたが、階級社会の英国では「休む」ということが「共通言語」ではなかったのかもしれません。

   もしくは、「4日働かせる」といった、経営者や上流階級目線が優先されているのでしょうか? 「日英表現の違い」は、調べてみても明確な理由はわかりませんでしたが、社会構造の違いや歴史が影響しているのかもしれません。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、働き方に関する表現をいくつか紹介しましょう。いずれも「今」を表す時事英語ですので、これを機に覚えておきましょう。

flexible working
(フレキシブルな働き方)

quality of life
(生活の質の向上)

work from home
(在宅勤務)

five-day work week
(週5日労働、週休2日)

   今回の実験に参加したある企業のCEOは、「週休2日は20世紀のもの。21世紀にはそぐわない」とまで言い切っています。果たして、結果はどうなるのか。「幸福な3300人の実験」に大注目です。

(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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