OPECプラス...原油増産に動くも、その規模は限定的 気になる「原油価格」への影響はどうなるか?

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   ロシアのウクライナ侵攻に伴い原油価格が高騰する中、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」が原油増産に動いた。

   2022年6月2日の会合で、増産ペースを従来の計画より拡大することで合意した。追加増産を強く迫る米国の要請に応じたかたちだ。

   ただ、西側を中心としたロシア制裁が続く中、減産幅縮小(増産)の規模は限定的で、実際の原油価格への影響は大きくないとの見方が強い。

  • 「OPECプラス」は2022年6月2日の会合で追加増産に合意(写真はイメージ)
    「OPECプラス」は2022年6月2日の会合で追加増産に合意(写真はイメージ)
  • 「OPECプラス」は2022年6月2日の会合で追加増産に合意(写真はイメージ)

追加増産の背景...OPEC最大の産油国サウジのねらいとは?

   J-CASTニュース 会社ウォッチも「原油価格が上昇 懸念される日本経済への影響 最大の産油国・米国やOPECの思惑は......」(2021年7月27日付)で報じたように、OPECプラスはコロナ禍からの世界経済の回復に伴い、2021年8月以降、生産量を毎月、日量約40万バレルずつ増やしてきた。

   今回の会合では22年7、8月の増産幅を、6月の日量43万2000バレルから拡大し、日量64万8000バレルとすることで一致した。もともと9月には減産を終了する計画だったので、2か月前倒しするかたちだ。

   OPECは「国際石油カルテル」とも呼ばれるように、サウジアラビアなどアラブ、アフリカを中心とする産油国が生産量を調整して価格をコントロールし、安定的な収入を確保しようとする組織だ。

   ロシアなど非加盟の産油国は、OPECが生産調整する隙をついてシェア拡大に動くなど、OPECとの関係は微妙だった。しかし、「シェール革命」と呼ばれる新たな原油採掘法の確立で米国の原油生産が急増したことを受けて、OPEC・非OPECの協調機運が高まり、2016年12月にOPECプラスの枠組みができた。

   そして、17年1月から協調減産を開始し、20年5月には、新型コロナウイルス流行で急落した原油相場を下支えするため、日量970万バレル規模で協調減産を実施。21年8月から減産幅を縮小してきた。

   ここまでは、コロナと景気が原油価格を左右する主要な要素だった。

   これが、22年春からはウクライナ問題が最重要テーマになった。ロシアの侵攻を受け、米国が石油禁輸を断行、欧州連合(EU)や5月末に海上輸送分の輸入禁止を決定し、日本も原則禁輸の方針を決めるなど、ロシア産原油を購入しにくい状況になった。そのため、買い手が減ったロシア産は国際相場の2~3割安で買えるようになり、インド、中国など制裁に加わっていない国々が割安に購入しているという。

   それでも、ロシアの原油生産量は3月の日量平均1100万バレルから4月以降は1000万バレル以下に落ち込んでいる。国際エネルギー機関(IEA)によると、5月時点でOPECプラスの増産計画の割り当て分より130万バレル少ない水準という。

   そうした状況の中で、OPECプラスが夏からの増産(減産を縮小)で合意に達したのは、OPEC最大の産油国サウジに負うところが大きい。

   米サウジ関係は、サウジの最高実力者であるムハンマド皇太子に批判的なジャーナリストが2018年、トルコのサウジ総領事館内で殺害された事件を機に悪化したままだった。

   しかし、米バイデン政権は、米国内のガソリンをはじめとする物価が上昇し続けていることから、11月の中間選挙を控え、サウジとの関係修復に動いている。7月にバイデン大統領就任後、初めてサウジを訪問することも決まった。

   サウジとしても、こうした流れをにらみ、米国への一定の協力姿勢を見せようと考え、今回のOPECプラスの合意につながったとされる。

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