2024年 4月 25日 (木)

「黄金の3年」岸田政権、エコノミストが望む経済政策とは...物価高対策、ユニコーン企業ラッシュ、そして「普通の労働者」大切に

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   2022年7月10日投開票の参議院選挙で岸田文雄政権は大勝し、いわゆる「黄金の3年」を手に入れた。

   衆議院議員の任期は2025年10月だから、自ら衆院解散をしない限り、向こう3年間は国政選挙がない。そのため、目先の選挙にとらわれず、国民に痛みを伴う政策を含めて、じっくり信念に基づく骨太の政策を実行できるわけだ。

   日本経済に活力を取り戻すために岸田政権がやるべき経済政策は何か。エコノミストたちの視点を読み解くと――。

  • 「黄金の3年間」で岸田文雄首相は日本経済を立ち直すことができるか
    「黄金の3年間」で岸田文雄首相は日本経済を立ち直すことができるか
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自民党の圧力に屈しない「物価高対策」が最初の試金石

   「物価高対策が最初の試金石になる」として4つの課題の対応に注目するのは野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏のリポート「自民大勝となった参院選挙後の岸田政権の経済政策」(7月11日)では、以下の4つの注目点をあげている。

日本銀行の次期総裁人事も今後の焦点だ(日本銀行本店)
日本銀行の次期総裁人事も今後の焦点だ(日本銀行本店)
(1)岸田政権が参議院選挙後に独自色を強めるかどうか、を占ううえで最初の試金石となるのが物価高対策を柱とする経済対策。
与党内では、補正予算編成を伴う巨額の経済対策の実施を求める声が強まる。しかし、ガソリン補助金や節電ポイント制度は、結局、個人の負担に返ってくる国債発行で賄うため真の支援とならない。成長戦略を通じて労働生産性と潜在成長率を高めることで、賃金や企業の売り上げを増加させ、物価高に対する日本経済の耐性を高めることに注力すべきだ。
(2)岸田政権が、財政健全化重視の姿勢を貫けるかどうか、金融市場は注目している。
自民党は「GDP比2%以上の防衛費増額」を選挙公約に掲げた。これは防衛費の倍増を意味する。岸田政権が、自民党内の圧力を抑え、経済対策や防衛費増額の規模を抑制し、財源を確保する姿勢を明らかにすれば、国内の債券市場には好影響が及ぶ。
(3)岸田政権は「骨太の方針」で所得再配分から成長戦略へと経済政策の比重を移した。また、「資産所得倍増計画」を年末までに策定する方針だ。
「個人マネーを株式市場に誘導し、それを企業の成長につなげるとともに、成長の果実を個人が獲得して個人消費に回していく」といった個人と企業との間の好循環を作り上げていくことが重要だ。岸田政権は具体策をしっかりとまとめ、拙速に補正予算に組み込むのではなく、来年度予算に計上してほしい。
(4)岸田政権の金融政策で注目されるのが、来年4月に任期を迎える日本銀行の黒田東彦総裁の後任人事だ。
日本銀行の硬直的な政策姿勢によって悪い円安、悪い物価高を助長しているとの批判が国会、企業、国民の間で高まっている。人事の動きが本格化するのは秋から年末にかけだが、誰が新総裁になっても金融政策の正常化は進められていくのではないか。金融市場が、新体制下での日本銀行の正常化策実施をこの先徐々に織り込んでいく過程では、それは債券市場に逆風となる。しかし、それ以上に為替市場で強い円高圧力を作り出していくことになるだろう。
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