2024年 4月 25日 (木)

アメリカは二つに分断され、危機的状況にあるのか?!

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   アメリカは今年の中間選挙を前に、国内が分断されていると聞く。だが、40年ぶりの記録的なインフレ、激増する大都市での犯罪、ワクチン義務化への猛反発などにより、バイデン政権の支持率が最低であることはあまり日本では報道されていない。本書「アメリカの崩壊」(方丈社)は、在米35年超の日本人実業家による衝撃のレポートである。

「アメリカの崩壊」(山中泉著)方丈社

   著者の山中泉さんは1958年青森県生まれ。オフィス・ファウンテン代表。1980年に渡米し、イリノイ大学ジャーナリズム科を卒業。ニューヨーク野村證券で米国株トレーダーとして勤務後、企業。現在は、シカゴで複数の企業を経営しつつ、日本メーカーの北米代表も務める。著書に「『アメリカ』の終わり」がある。

バイデン政権はほとんどの政策で「落第点」

   まず目を引くのは、表紙裏だ。山中さんによるバイデン大統領(2021~2022)の成績表が載っている。A-Dで採点し、最高点はA。FはFailure=落第である。

【防衛・外交】
アフガニスタンでの惨めな敗戦    F
対欧州諸国 完全に信頼を失う    F
対ロ政策  ウクライナ       D
対中政策  人権・貿易       F
対日政策              記載なし

【経済・内政】
40年ぶりの激しいインフレ      F
ワクチンパスポートへの怒りと不信  F
治安悪化 大都市での犯罪激増    F
ポリコレを口実にした言論弾圧    F
国境開放政策による不法移民激増   F
支持率ダダ下がり 中間選挙の見通し F

   上記のように落第点が並び、【総合点】もFとなっている。いったいどういうことなのか。

伝統的アメリカ社会への「破壊工作」

   前著「『アメリカ』の終わり」で山中さんは、「アメリカ人の半数が、2020年の大統領選挙で不正が起きたと考えており、正統性を疑われているバイデン政権の基盤は脆弱だ。グローバリストと左派にコントロールされているバイデン政権は、アメリカを、より中国に近い全体主義的統制社会に近づけ、矛盾が激化していくだろう」と予測していた。

   だが、現実は山中さんの予想をはるかに上回り、過去に経験したことがないほどの「反アメリカ」勢力による、伝統的アメリカ社会への破壊工作が始まったと考えているというのだ。それは「クーデター」と言っていいほどだとも。

   見出しを少し眺めるだけでも、日本のメディアがあまり報じない刺激的な文言が並んでいる。

   「民主党はあなたのお祖父さんが知っている民主党ではない」「バイデン大統領は『民主党中道派』ではなく、堂々たる左派」「アフガニスタン敗戦は、米国史上最悪の屈辱」「バイデンが就任当日、大統領令にサインした瞬間に世界インフレは始まった」......。

   日本のマスコミだけを見ていると、2016年からとてつもなく評判の悪かったトランプが、なぜ2020年の大統領選において、有権者の約半分の7500万票近くを得たのかということは全くわからないだろう、と指摘している。

   山中さんの見解はこうだ。2016年に大統領に就任したドナルド・トランプは、それまで太ったライノー(サイ)と揶揄されていた「地方の保守的なお金持ちの党」であった共和党を、黒人、スパニッシュ系、アジア系、女性たちが中心となるミドルクラスとブルーカラーの党に作り替えた。

   事実、2020年の大統領選において、黒人男性票が前回の8%から18%に増え、スパニッシュ系票、アジア系票とも前回から大幅に票を伸ばしたという。

   対決の構図は「グローバリスト・エリート 対 草の根愛国者」だと見ている。

   もっとも、山中さんはトランプ主義者でもなければ、トランプを応援したいために、本書を書いたのではない、と書いている。

   民主党のオバマ政権の8年間で、中小・零細業者たちは、増税やオバマケアの負担増などで苦しんだ、という思いのほか、まずはアメリカ人の利益になるかどうかを真っ先に考えるトランプの姿勢が、いまこそアメリカには必要なのではないかと考えていたのだ。

   なお、山中さんが自分を「草の根愛国者」と考えているのは、空手を通じて道場に通う多様な階層の同僚や弟子との交流により、「さまざまな価値観を持つ米国市民のリアル」を知り、生活者・納税者の視点を強く持ったからだそうだ。

   中間選挙はずばり、共和党が大勝するだろうと予想している。だが、左派の浸透ぶりとアメリカにおける中国の影響力の強さもなかなかのものである。その結果、アメリカの分断はますます進むことだろう。日本にとっても決して座視できないことである。

   本書は2022年3月31日の発行で、ロシアのウクライナ侵攻と米欧諸国によるウクライナ支援についての記述はないことをお断りしておきたい。侵攻が始まった2月24日前に校了したと考えるのが自然だろう。今なら、山中さんがどう書くのか知りたいと思った。

(渡辺淳悦)

「アメリカの崩壊」
山中泉著
方丈社
1650円(税込)

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