2024年 6月 17日 (月)

プーチン大統領の逆襲で加速、「欧州経済の減速」 エコノミストが指摘「エネルギー不足」「ユーロ安」「イタリア危機」...今冬を乗り越えられるか?

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   ロシアがウクライナに侵攻してから5か月。欧州では記録的なインフレが収まらない状態だ。

   ここにきて、欧州の経済制裁に対するロシアの「報復」と見られる天然ガス供給ストップも加わり、企業の生産活動や市民生活に直結するエネルギーを確保できるか、正念場を迎えている。

   米国に続き欧州まで景気が減速すれば、世界経済はどうなるのか。エコノミストの分析を読み解くと――。

  • プーチン大統領の「報復制裁」(?)天然ガス供給停止に苦しむ欧州経済(ロシア大統領府公式サイトより)
    プーチン大統領の「報復制裁」(?)天然ガス供給停止に苦しむ欧州経済(ロシア大統領府公式サイトより)
  • プーチン大統領の「報復制裁」(?)天然ガス供給停止に苦しむ欧州経済(ロシア大統領府公式サイトより)

「欧州は厳しい冬を覚悟しなければならない」

   ユーロ圏のインフレ率が予想以上に上昇している。欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が2022年7月1日に発表した6月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比8.6%増と、5月の8.1%増から加速した。

   さらに「ユーロ安」も加速している状況で、7月12日には20年ぶりに1ユーロが1ドルを下回る「パリティ」(=等価、1ユーロ=1ドル)割れが起こる事態になっている。

   そこに追い討ちをかけるように7月11日、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン「ノルドストリーム」が定期点検のためと称して欧州向けのガス供給をストップした。

   プーチン大統領はかねがね、「ロシアに対する制裁措置には、報復制裁を辞さない」と明言しており、ロシアからのガス供給がストップすれば、ガスの需要が高まる今年冬には欧州経済はピンチに陥るのは避けられない。

ユーロ圏の経済減速で世界経済はどうなる?(写真はイメージ)
ユーロ圏の経済減速で世界経済はどうなる?(写真はイメージ)

   こうした事態をエコノミストたちはどうみているのか。

   「欧州は厳しい冬を覚悟しなければならない」と指摘するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏のリポート「ロシアの原油、天然ガス報復制裁と欧州の景気後退リスク」(7月13日付)では、プーチン大統領の脅しが欧州諸国に打撃を与え、EU経済が冬場にかけて厳しい状況を迎えることは避けられない、と指摘する。

「プーチン大統領は、ロシアに対する制裁措置は確かにロシア経済に打撃を与えるが、既に物価高騰に苦しむ先進諸国はそれ以上の打撃を被る、と7月8日に発言している。また、追加制裁が行われれば、世界のエネルギー市場は破壊的な結果を生む、と先進国を脅している」
「ロシアは既に欧州に対して、天然ガスの輸出削減を報復制裁として実施している。6月にはロシアとドイツとを結ぶ海底パイプライン、ノルドストリーム1を通じたドイツへの天然ガスの供給を6割削減している。そして7月11日には、ノルドストリーム1による欧州への天然ガスの供給が停止した。運営会社は21日までの『定期点検』としているが、実際にはロシア政府による報復制裁の可能性が高い」

   こうしたロシアによる報復措置は、欧州経済に深刻な経済後退を招きかねない。木内氏はブルームバーグの報道を引用する形で、こう懸念を示した。

「ブルームバーグが7月11日に公表したエコノミストへの調査(7月1日~7日)の結果によると、物価上昇率が歴史的水準にある中で、さらに天然ガスが不足することで、景気後退(リセッション)のリスクが高まっている、との見方が示された。
向こう1年間にユーロ圏経済が景気後退に陥る可能性については45%と5割に近づいた。ウクライナ問題前にはその確率は20%、6月時点の調査では30%であったことから、7月調査では景気後退の予想確率が一気に高まったことを意味している。ドイツ経済については景気後退の予想確率は55%と5割を超えた」
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