2024年 4月 20日 (土)

「原発最大9基稼働」 電力逼迫対策アピールした岸田文雄首相の「欺瞞」

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「経済産業大臣に対し、この冬で最大9基の稼働を進め、日本全体の電力消費量の約1割に相当する分を確保するよう指示いたしました」

   岸田文雄首相は2022年7月14日の記者会見で、今夏以上に電力の需給が逼迫するとみられる冬場に向け、原発の稼働を拡大する方針を表面した。

   並行して火力発電の再稼働も加速させることで「政府の責任においてあらゆる方策を講じ、将来にわたって電力の安定供給が確保できるよう全力で取り組みます」と政権のリーダーシップをアピールしてみせた。

  • 注目される原発再稼働(写真は、海から臨む福祉第一原子力発電所)
    注目される原発再稼働(写真は、海から臨む福祉第一原子力発電所)
  • 注目される原発再稼働(写真は、海から臨む福祉第一原子力発電所)

電力業界からは「拍子抜けだ」と嘲笑の声

   この発言にはSNS上で「英断だ」との声があふれるとともに、新聞各紙も翌日の1面で「原発最大9基稼働」などと大々的に報じた。

   ところが、肝心の電力業界からは「拍子抜けだ」と嘲笑の声が漏れる。岸田首相がアピールした「9基稼働」はもともと、電力各社の計画にすでに織り込まれていたもので、「既定路線で新味がない内容」(電力大手関係者)だったためだ。

   現在、国内にある原発は33基。このうち原子力規制委員会の安全審査を通過し、稼働可能な状況になっているものは10基ある。ただし、10基すべてが同時に稼働していることは現実にはほとんどない。原子炉等規制では13か月に1回、定期検査を義務づけており、この期間中は原子炉を数か月間止める必要があるからだ。

   電力各社が発表している稼働計画をみると、検査期間がなるべく重ならないように配慮はされているが、それでも10基の同時可能な時期はない。

   冬場の稼働数が最大となるのは2023年1月下旬の9基で、岸田首相が口にした「9基稼働」の条件を満たすことにはなる。ただし、その状況が続くのは2月中旬までのわずか1か月弱だ。

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