2024年 4月 18日 (木)

会社でYouTube担当になったら...どうしたらいい?

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   YouTuberが子どもたちの憧れの職業になった時代。しかし、あなたが会社のYouTube担当者になったら、どこから手を着けたらいいのかわからず、大変なプレッシャーを感じるだろう。しかも、代理店に依頼する予算はないとしたら......。

   そんな悩みを抱えている人にぴったりの本が「YouTube企業動画担当者になったらこれだけは知りたいマーケティング&プロデュースの基本」(技術評論社)である。

「YouTube企業動画担当者になったらこれだけは知りたいマーケティング&プロデュースの基本」(押切孝雄)技術評論社

   著者の押切孝雄さんはデジタルマーケティング・コンサルタント、戸板女子短期大学専任講師。大手ディベロッパーを経て英国の大学院で修士号を取得。株式会社カティサークを設立。15年以上Webサイト制作運営、デジタルマーケティング事業を行っている。著書に「YouTubeビジネス革命」「グーグル・マーケティング」などがある。

   会社で「YouTube担当」になれ、と言われたら、どこから手をつけたらいいのか――。押切さんは、いきなり動画を作り始めるのではなく、企業としてのマーケティングを成功させるために、会社全体の目的や役割を理解し、動画の有用性を把握した上で最適なチームを組み、YouTube動画チャンネルを運営することを勧めている。

   そもそも企業がYouTubeを運営する目的は、2つだという。1つは売れ続ける仕組みを作ること。もう1つはエンゲージメントを高めることだ。

企業のホームページと同様の力を持つYouTube

   閲覧率においてYouTubeは、もはや企業のホームページと同様の力を持っている。ホームページだけ運営していればいい、という時代ではないのだ。エンゲージメントとは、企業と顧客との関係性のことだ。顧客との関係性が高まれば、会社の商品やサービスに親しむ顧客が増えて、結果的にモノが売れていく。

   YouTubeが大事なことはわかったが、いきなり動画を作ってはいけないという。YouTube単体で考えないで、常に全体を意識したうえでYouTubeを捉えることがポイントだ。YouTubeは売れ続ける仕組みを作るためのチャンネルの1つなのだ。

   そのためのフレームワークとして、「AISARE(アイサレ)」を取り上げている。押切さんが考案したものだ。

A アテンション(注目・認知)
I インタレスト(興味・関心)
S サーチ(検索)
A アクション(購入)
R リピート(繰り返し購入)
E エヴァンジェリスト(他人に広める)

   YouTube担当者は、必ずしも動画に出演する必要はない。デジタルマーケティングの目的は、利益ではなく、エヴァンジェリストの創造である、と強調している。プロデューサーであることを忘れてはいけない。

成功の基準は「再生数」ではなく、「問い合わせ数」を

   売れる動画の成功基準は「再生数」ではなく、会社への「問い合わせ数」だと断言している。KGIとKPIという2つの指標を使って説明している。

   KGI(Key Goal Indicator)は重要目標達成指標。Webの目標を数値で管理する。現状、ホームページからの問い合わせが月に40件の会社があるとする。1カ月に20営業日で1日2件の問い合わせだ。KGIとして、問い合わせ件数50件を目標と設定してみよう。25%増だ。問い合わせが25%増えることで、成約も売上も25%増えることを見込む。

   ここでKPIが出てくる。実現するにはアクセス数を20%アップさせ、直帰率を5%改善するとすれば、問い合わせは50件に届く計算になる。

   直帰率とは、ホームページにアクセスしたユーザーが、同一ドメイン内の他のページに移行せずに、そのまま元いたページに戻ってしまう割合のことだ。低いほうがいい。

   さて、いよいよ自社内で動画を制作することになる。流れとして「企画」→「台本」→「撮影」→「編集」→「「公開」となる。必ず台本を作ることが欠かせない。

   実際の制作、運営で気をつけなくてはならない3つのポイントを挙げている。

1 自社のコンプライアンスに関すること
2 YouTubeチャンネル運営に関すること
3 他のSNSとの連携に関すること

   以下の章では、動画マーケティング力の鍛え方、動画プロデュース術の身につけ方、売れるだけでない、さまざまな企業動画の種類、自社内で動画を制作・編集する際のマニュアルなどを詳しく説明している。

   たとえば、企業によっては動画本編に出演者を入れられないということもあるだろう。そうした場合はアニメーションを利用するのも1つの方法だという。「VYOND」など、使い勝手のいいサービスもある。

   通して読んで思ったのは、本書は企業の担当者だけではなく、個人のYouTuberにとっても本当に役立つ内容だということだ。バズる動画を作りたい人にお勧めしたい。

(渡辺淳悦)

「YouTube企業動画担当者になったらこれだけは知りたいマーケティング&プロデュースの基本」
押切孝雄著
技術評論社
1980円(税込)

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