2024年 5月 8日 (水)

久しぶりの日本は「ゴーストタウン」?!海外メディアが伝える...訪日外国人旅行客のリアルな反応(井津川倫子)

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されて、訪日外国人旅行客が戻ってきました! テレビでは、観光地を訪れたり、買い物にいそしんだりと、久しぶりの日本をエンジョイする外国人観光客の姿が、連日のように映し出されています。

   歴史的な円安の恩恵も重なって「ニッポンはパラダイス」なのかと思いきや、海外メディアには意外な反応が紹介されていました。

   果たして、インバウンド観光は復活となるのでしょうか?

  • 訪日外国人旅行客のお気持ちとは?(写真はイメージ)
    訪日外国人旅行客のお気持ちとは?(写真はイメージ)
  • 訪日外国人旅行客のお気持ちとは?(写真はイメージ)

英通信社、「日本はゴーストタウンだ!」記事を世界に発信

   入国者数の上限が撤廃され、個人の外国人旅行客の入国も解禁されるなど、2年ぶりにほぼコロナ禍前の状態に戻った水際対策。岸田首相が、「年間5兆円超の外国人消費額を目指す」と表明するなどインバウンド観光の復活に、熱い視線が注がれています。

   テレビや新聞では、「解禁」を待っていたかのように日本を訪れて、「円安サイコー!」と「爆買い」をする外国人観光客を紹介しています。

   たしかに、驚異的なスピードでインフレが加速している米国や欧州と比べると、日本では何を買っても「激安バーゲン」に感じることでしょう。さらに、歴史的円安となれば、外国人観光客の「興奮ぶり」も理解できます。

   彼らにとって、さぞかし日本は「パラダイス」だと思いきや、海外メディアでは日本を訪れた旅行客の意外なコメントが紹介されていました。

'Ghost town': Japan reopens borders, but visitors find hotels short staffed and shops closed up
(まるで「ゴーストタウン」。日本が入国制限を撤廃したが、ホテルはスタッフ不足で店は閉まっている:ロイター通信)

   英ロイター通信は、日本は2年ぶりに水際対策を撤廃して国境を「完全再開」したものの、実際は、シャッター街の増加と観光業での従業員不足が顕著で、「threaten the country's hopes for a tourism boom」(観光ブームが訪れるという国の期待を脅かしている)と報じています。

   記事では、成田空港に到着したニュージーランド人観光客の「It's like half a ghost town」(まるでゴーストタウンみたい)という驚きの声を紹介。成田空港では、260あるショップやレストランのうち、半分が閉まっているとも伝えています。

   さらに、日本国内ホテルの73%が「従業員不足」に直面しているという調査結果と、「コロナ禍の2年間で、多くの従業員がより待遇の良い業界に移ってしまった」と嘆く、ホテル業界関係者の生々しいコメントも紹介していました。

   たしかに、先日札幌に出張した時、意外なほど外国人観光客の姿を見かけなかったこと、人気レストランがガラガラだったこと、ホテルが「スタッフ不足」でルームサービスを中止していたこと、を思い出しました。なるほど、そういう状況だったのですね。

   日本の報道だけではわからない「訪日観光客ブーム」の意外な一面を、海外メディアから学んだ気がしました。

米メディア、「中国人観光客が押し寄せる前に、〇〇に行っておこう!」

   とはいえ、久しぶりの日本観光をしっかりとエンジョイしている外国人観光客もたくさんいるようです。フランスのAFP通信は、「Dream come true: Japan reopens to tourists」(夢が実現した:日本が観光客入国制限撤廃)と題した記事を配信しました。

   「日本びいき」が多いお国柄を反映してか、マスクの着用や消毒液の設置など、他国と比べて厳しい日本のコロナ対策にも、「Many arriving tourists seemed unfazed by the rules」(多くの観光客はそんなルールをまったく気にしていない)と好意的。

   さらには、「There is certainly no shortage of demand」(日本観光の需要が減ることはない)という、パリ旅行代理店の力強いコメントも紹介して、「日本推し」のスタンスを明確にしています。

   個人的に面白いと思ったのは、米ブルームバーグ通信の「The best places to visit in Japan before swarms of tourists arrive」(観光客の大群がやってくる前に、日本で訪れるべきところ)という記事です。「ジブリパーク」「京都」「築地魚市場」といった定番観光地に並んで「おススメ」しているのが、デパートの「伊勢丹新宿店」!

   パンデミック中に改装をして、「コスメフロアやエルメス店舗が拡大」した同店は、中国人観光客に非常に人気が高いことから、「彼らの大群が押し寄せる前に、ぜひ行っておくように」と勧めているのです。

   実用的なアドバイスが、いかにも米国風。伊勢丹に外国人観光客が殺到するのか、記事の影響が気になります。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「best places to~」(~をするのに最高の場所)を使った表現を取り上げます。

Best places to see cherry blossom in and around Tokyo
(東京周辺、お花見のおススメスポット)

Sapporo is the No. 1 best place to live
(札幌は、住むのにナンバー1の地区だ)

Best place to eat and drink in Kyoto
(京都で飲食する最高の場所)

それにしても、英国、フランス、米国それぞれのメディアによって、「目のつけどころ」が異なることが伝わってきます。

   冷静な英国、日本好きのフランス、実用的な米国...。興奮気味の日本メディアでは味わえない視点が面白いと思いました。これぞ、海外メディアウォッチのだいご味です。

(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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