2024年 4月 29日 (月)

雇用調整助成金の詐取と、経営者の知恵って、紙一重なのでしょうか?【vol.18】(川上敬太郎)

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ラクして儲けようとする「悪知恵」が次々と...逆境乗り越えてきた経験が台無しではないですか?

   しかしなかには、会社のトップ自ら「法律を上手いこと潜り抜ける方法はないか」と幹部たちに問うような組織もあります。そのような会社では、不正行為であったとしても、バレずに利益をもたらしてくれるならば、それは「知恵」なのだと、自分たちに都合よく変換してしまいそうです。

   ン千万、ン億円の助成金不正受給も、そんな悪知恵を働かせて生み出した「打ち出の小槌」くらいに思っているのかもしれません。苦労して獲得したン十万円の売上を積み重ねるよりも、悪知恵を働かせて助成金を不正にせしめ、一度に大きな金額を手にする方が圧倒的にラクですから。

   厚生労働省によると、そんな雇用調整助成金の不正はわかっているだけで135億円に上るのだそうです。また、雇用調整助成金に限らず、電機メーカーや自動車関連会社などで起きた不正検査、東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職など、ラクして儲けようとする「悪知恵」がことごとく会社を蝕んでしまっている事例が、このところ次々に発覚しています。

   でも、それらの悪知恵とやらで、数々の修羅場を乗り越えてきた経験を無駄にしてしまうなんて、むなしくないですか?

   いつの間にか悪知恵を身につけてしまった経営者たちは、テストでカンニングして100点取った子どもに、「おお、うまいことやったな!すごいぞ!」なんて褒めたりするのでしょうか?

   報じられているコメントなどを見ると、なかには、助成金を詐取しておきながら、サラっと部下に責任をなすりつけている経営者もいるようです。

   そんなトップダウンができるなんて、相当ガバナンスが利いているじゃないですか。きっと日ごろから部下の言動には目を光らせていたはずですし、不正と気づかずウッカリ受給申請したなんてヘマ、するはずないと思うのですけど。

(川上敬太郎)

川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家
男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌「月刊人材ビジネス」営業推進部部長兼編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。
雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する「働く主婦・主夫層」の声延べ4万人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。
NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディアへの出演、寄稿、コメント多数。
現在は、「人材サービスの公益的発展を考える会」主宰、「ヒトラボ」編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。
1973年生まれ。三重県出身。
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