農地の減少が止まらない。農林水産省の令和4年耕地面積(7月15日現在)によると、全国の耕地面積は前年比で2万4000ヘクタール(0.6%)減少、2万へクラール超の減少は8年連続となった。
水田、畑ともに前年比およそ1万ヘクタールのペースで減少
全国の2022年の田畑合計の農作物の栽培を目的とする耕地(けい畔=あぜを含む)は、432万5000ヘクタールに減少した。
耕地の減少はとどまるところを知らず、2015年以降は毎年2万ヘクタールを超える減少が続く。2016年以降、前年比で0.5%超の減少が7年連続している。国土面積のうち、耕地面積が占める割合である耕地率も2017年に12%を割り込み、2022年には11.6%にまで減少している=表1。
田畑の別での耕地状況を見ると、田(水田)は235万2000ヘクタールと前年比1万4000ヘクタール(0.6%)減少した。2015年からは毎年1万ヘクタールを超える水田が減少しており、年平均で前年比0.5%以上の減少が続いている。
一方、畑は197万3000ヘクタールで、前年比1万ヘクタール(0.5%)減少した。畑も毎年1万ヘクタールを超える減少が続いており、水田と同様に年平均で前年比0.5%以上の減少が続き、2020年には200万ヘクタールを割り込んでいる=表2。
畑耕地の種類別面積は、普通畑は前年比3000ヘクタール(0.3%)減少して112万3000ヘクタールに、樹園地は同4600ヘクタール(1.7%)減少して25万8600ヘクタールに、牧草地は同2100ヘクタール(0.4%)減少して59万1300ヘクタールとなった。普通畑、樹園地は年間3000~7000ヘクタールの減少が続いている一方で、牧草地は年間1万3000~1万9000ヘクタールと大幅な減少が続いている=表3。
10年間にわたって、年間2万ヘクタールの「かい廃」耕地が増加
耕地の減少要因となる「かい廃」は、3万200ヘクタールとなっている。
かい廃とは、田畑が他の地目に転換し、作物の栽培が困難となった状態で、自然災害や人工的に工場用地、道路鉄道用地、宅地等および農林道等への転用、植林などを指す。
かい廃のうち、耕作用だったが、耕作放棄によって、耕作し得ない状態(荒地)となった土地である荒廃農地は1万4000ヘクタールと、かい廃の46.4%を占めている。
2013年に1万9800ヘクタールだったかい廃は、2014年に前年比32.3%の2万6200ヘクタールと大幅増加した後、2017年以降は年間3万ヘクタールを超える状態が続いている。
このうち荒廃農地も2013年に9530ヘクタールだったが、2014年に1万3000ヘクタールと1万ヘクタールを超え、以降10年間にわたって1万ヘクタールを超える状況が続いている。
これに対して、耕地の増加要因となる「拡張」は6590ヘクタールにとどまっている。拡張とは、耕地以外の地目から田または畑に転換され、すでに作物を栽培し、または次の作付期において、作物を栽培することが可能となった耕地を指す。開墾、干拓埋立て、または復旧によって生じる。
拡張は、増加傾向が続き、2019年には年間9240ヘクタールまで拡張が行われたものの、その後は3年連続で減少している。
かい廃に対して、拡張の占める割合は、2018年以降は半分以下の状況が続く。2015年以降、10年間にわたって、年間2万ヘクタールのかい廃耕地が拡張されることなく、増加している=表4。
今年の春先から始まった急激な物価上昇でも、家計に大きな影響を与えているのは、円安進行を背景にした食料を中心とした輸入物価の上昇だ。日本のカロリーベースの食料自給率は2021年度で38%しかなく、多くの食料を輸入に頼っている。
耕地面積の減少は、取りも直さず、生産量の減少につながる。耕地面積の減少の背景には、少子高齢化と若者層の農業離れが続いていることが挙げられる。農業復活は、喫緊の課題だ。
なお、耕地面積の上位10都道府県を参考までの付けておく=表5。