2024年 4月 24日 (水)

小中高の「不登校」生徒...前年度比で過去最多の増加、30万人目前 若年化傾向も深刻(鷲尾香一)

   小・中・高等学校の不登校生徒数が急増している。文部科学省が10月27日に公表した「令和3年度(2021年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、2021年度は前年度比で5万6747人(23.7%)と不登校生徒が増加し、29万5925人と30万人に迫った。

  • 文部科学省「令和3年度(2021年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」に注目(写真はイメージ)
    文部科学省「令和3年度(2021年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」に注目(写真はイメージ)
  • 文部科学省「令和3年度(2021年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」に注目(写真はイメージ)

9年前と比べて、不登校の小学生が約4倍増える...8万1498人

   2015年度に前年度比で減少した不登校生徒数は、2016年度から再び増加し、6年連続で増加している。特に、2021年度は、前年度比5万人を超える過去最多の増加数となった。

   なかでも深刻なのは、不登校生徒の増加が若年化していること。小学校の不登校生徒数は、2012年度には2万1243人だったが、2021年度には約4倍の8万1498人にまで増加している。直近で見てみても、2020年度には前年度比1万人(18.7%)、2021年度には同1万8148人(28.6%)も増加した。

   従来から不登校生徒数がもっとも多かった中学校でも、2012年度の9万1446人から2016年には10万人を超え、2021年度には16万3442人と同3万665人(23.1%)増加だった。また、2019年度、2020年度と減少が続いていた高等学校も、2021年度には同7934人(18.4%)増の5万985人となった=表1

   不登校生徒数の増加が若年化しているのは、不登校生徒数全体に占める小・中学校の割合の増加、特に小学校の割合の増加にも表れている。

   2012年度に全体の12.5%だった小学校の割合は、2018年度に20%を超え、2021年度には27.5%にまで増加した。中学校は、2012年度は53.7%だったが、2021年度は55.2%となっており、両者で不登校生徒数の80%以上を占めている。

   生徒1000人当たりの不登校数も増加しており、小学校では2012年度に3.1人だったが、2017年度に5.4人に、2020年度には10.0人に増加し、2021年度は13.0人となった。

   中学校では、2012年度は25.6人だったが、2021年度には50.0人にまで増加している。小学校では100人に1人以上、中学校では20人に1人の不登校生徒がいることになる=表2

   都道府県別ではどうか。小・中学校の1000人当たり不登校生徒数の都道府県別の上位では、1位が高知県の31.2人、2位が宮城県の30.3人、3位が長野県の29.8人と続き、全国平均の25.7人を大きく上回っている=表3

   高等学校の1000人当たり不登校生徒数の都道府県別の上位では、1位が大分県の29.2人、2位が宮城県の27.9人、3位が滋賀県の27.9人と続き、全国平均の16.9人を大きく上回っている。ちなみに、小・中学校と高等学校の両方で上位10位に入っているのは、宮城県と奈良県となっている=表4

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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