2024年 4月 20日 (土)

テレビ番組作りの真実...制作会社で働く人たちの実態とは?

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   ふだん、あまりテレビを見ない人でも正月休みの間は、テレビを比較的長く見たかもしれない。

   本書「テレビ番組制作会社のリアリティ」(大月書店)は、テレビ局の陰で番組作りを支えるテレビ番組制作会社に光をあてた本だ。そこで働く人たちの証言を集め、日本のテレビがどう変わってゆくかを探った労作である。

「テレビ番組制作会社のリアリティ」(林香里・四方由美・北出真紀恵 編)大月書店

   本書は、GCN(Gender and Communication Network ジェンダーとコミュニケーションネットワーク)が取り組んだ共同研究の成果だ。共同代表の林香里さん(東京大学大学院情報学環教授)と四方由美さん(宮崎公立大学人文学部教授)らが編者を務めた。

意外とデスクワークが多いアシスタント・ディレクター

   外部発注や派遣が増えているテレビ制作の現場で、女性が使い捨て労働者になっているのではないかという問題意識から始まった調査研究が、本書の出発点である。

   とはいえ、調査対象者は制作会社に所属する男性11人、女性9人の計20人(正社員、契約社員、嘱託、番組契約)で、女性ばかりを対象にしていない。報道、情報ワイド番組の制作に携わった経験がある人を抽出した。

   制作の仕事に就いた理由、仕事への満足や不満、学歴、雇用形態、年収、テレビとネットの関係など多岐にわたり尋ねた。第2章「制作現場の日常風景」に、彼らの等身大の姿が描かれている。ある女性アシスタント・ディレクター(AD)の場合はこうだ。

   大学を出て3年目の20代、東京にある制作会社の正社員として情報ワイド番組の制作に携わっている。テレビ制作の裏側に興味を持ち、この業界に入った。現在の番組は2つ目の職場。

   入社1年目は、他局の情報バラエティー番組で芸能を担当していた。現在、制作している情報ワイド番組は帯番組で、そのうち週1回、決まった曜日を担当するチームの一員である。

   仕事の進め方はこうだ。打ち合わせで扱うトピックが決まると、ディレクターの作業時間に合わせて、必要な資料探しや、映像探し、映像使用の許諾のための申請書作りに追われる。帰宅できる頃には、出社後およそ半日(12時間)がたっている。

   放送曜日の前日からは、翌日のオンエア終了後までノンストップで働く。フリップ作り、カンペの確認や書き直し、テロップの発注などやることは膨大にあり、徹夜で準備を行うという。

   テレビ局で仕事をしていて楽しいと思えるのは、タレントなどの芸能人を、身近に見て肌で感じることができる瞬間だそうで、「新垣結衣さんに会えたときが一番うれしかった」と語っている。

   アシスタント・ディレクターは走り回っているイメージがあるが、意外とデスクワークが多く、仕事も断片的になりがちだという。

   「本当に、何やってるんだろうってなっちゃう子が多いんで辞めちゃうんですよ、すぐ」と話し、欲求不満が離職率の高さの一因になっている、と指摘している。

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