2024年 4月 27日 (土)

日銀の利上げに、どう対応するか?...ダイヤモンド「お金大全」、東洋経済「NHKの正体」、エコノミスト「NISA徹底活用術」を特集

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

5%の賃上げは、実現するかもしれない?

   1月23日発売の「週刊ダイヤモンド」(2023年1月28日号)の特集は、「お金大全」。投資、保険、年金、住宅ローンなど、少しでも得するためのお金の必須ノウハウをまとめている。

   これまでの超低金利、低インフレの時代は終わろうとしている。この先は何が起こるのか? 経済リスクについて、東京大学大学院経済学研究科教授の渡辺努氏とBNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミストの河野龍太郎氏が対談している。

   今話題になっている「世界インフレの謎」(講談社現代新書)の著者でもある渡辺氏は、鍵は日本人のインフレ予想だと指摘。それだけに、この春の賃上げは、重要なポイントになる。連合が掲げる定期昇給込み5%という賃上げ目標について、企業も対応し、5%はクリアすると見ている。

   そうなれば、今後も賃金が上がるという見通しがついてくるので、価格上昇に対して消費者も寛容になり、企業も転嫁しやすくなって物価上昇は持続。その後、インフレはゆっくりと2%に収束すると見ている。

   一方、河野氏はグローバルインフレがしつこい場合、2%目標達成には、強烈な金融引き締めや財政引き締めが必要になり、景気が相当悪化。その先にはグローバルデフレが訪れるかもしれない、と指摘している。

   渡辺氏は23年度のどこかで日銀は利上げをすると予想。河野氏もグローバル景気が回復を続けるなら、インフレが継続的に2%を超えなくても、日銀が利上げを開始すると予想している。

株式投資「3つの鉄則」とは?

   こうした経済リスクを抱える状況下で、どのような行動をすべきか、検討している。まずは「株式投資」。投資の3つの鉄則を紹介している。

   1 「トレードはするな、長期・積み立て・インデックス投資をすべし」。

   高度な情報とIT装備と経験を備えた運用のプロでさえ、取引コストを支払ってもなお市場平均を上回る成績を出すことは難しいとして、インデックス投資を中心とした長期運用を勧めている。

   2 「うわさに乗せられるな。個人はプロにない強みを生かせ」。

   素人が失敗するのは「プロのまねをしようと後追いするときだけである」という言葉を紹介。本当に買うに値いするかどうかは、自分で徹底的に調べる必要があるという。

   3 「どうしてもトレードをするなら、人間心理のわなにはまるな」。

   どうしてもトレードをするなら、スキルを磨く以上に、人間心理のわなにはまらないよう精神を鍛える必要があるという。

   これらは「敗者のゲーム」(チャールズ・エルス著、日本経済新聞出版社)、「ピーター・リンチの株で勝つ」(ピーター・リンチほか、ダイヤモンド社)など、株式投資の古典的名著からエッセンスをまとめたものだ。投資の参考書を読むことを勧めている。

   経済的な負担を軽くするため、保険の見直しも1つの手になる。

   「くらしとお金のFP相談センター」代表の西村和敏氏は、保険料を払い続けられるのか、「終身」の医療保険には要注意だ、と警告する。

   そこで勧めているのが、「3大(特約)疾病保険料払込み免除特約」を付けることで、老後保険料を支払わなくても終身医療保険を継続できる手だ。特約を終身と勘違いし、80歳や90歳までしか保障を継続できないこともあると知り、驚いた。これを機に、自分の医療保険をもう一度点検してみることが必要だ。

   生活防衛のためのやりくりの知恵もまとめている。一括払い、積み立て、シニア割引を利用することで、少しでもお金を節約することが出来る。詳細な一覧表を見ると、意外な「お宝」がある。

NHK、ネット受信料の徴収を検討?

   「週刊東洋経済」(2023年1月28日号)の特集は、「NHKの正体」。増強される「受信料ビジネス」はなぜ強固なのか? 新たに浮上する「ネット受信料」についても斬り込んでいる。

   今、NHKが総力を挙げるのが、NEWS WEBや放送の同時・見逃し配信を提供する「NHKプラス」などのインターネット事業だという。前田晃伸会長が掲げた人事制度改革の1つの柱が「デジタル職員制度」の導入だ。社内外からデジタル人材を集めている。

   NHKがネット事業拡大を急ぐのは、テレビ離れが急速に進んでいるからだ。さらに受信料制度への国民の抵抗感も脅威になっている。テレビ放送が映らないチューナーレステレビは、ディスカウントストアで売れている。

   「すでにかなりのカネ、マンパワーがネット業務に振り向けられている」という職員の声を紹介、そのしわ寄せは地方局や海外支局に出ているという。

   NHKは今年10月から受信料を値下げする。地上波のみの契約では月額1100円(125円値下げ)、衛生契約では月額1950円(220円値下げ)となる。それにもかかわらず抵抗感が強いのは、受信料を不正に払わない人には通常の2倍相当の割増金を請求するという強気の姿勢を見せたからだ。割増金制度は、この4月からスタートする。

   NHKの受信料は見たい人が払うサービス対価ではなく、公共放送機関そのものを維持・運営していくための「特殊な負担金」というのがNHKのスタンスだ。

   テレビを設置しているすべての世帯が負担することで、NHKが全国あまねく、確かな情報を届けるということだ。しかし、テレビをリアルタイムで見る習慣のない若い世代には納得できるものではない。

   受信料制度をめぐる最大の論点がネット受信料だという。テレビを見ない人からも受信料を徴収できる仕組みを模索しているようだ。

   ネット受信料の対象はスマートフォン保有者全員、または、アプリをインストールした人など、そのシナリオがさまざま取り沙汰されている。

   政府や与党政治家の意向にさえ逆らわなければネット受信料という新たな収益源を入手できるとNHKが考えているとしたら、もはや公共放送と呼べず、「受信料ビジネス」でしかない、と厳しく批判している。

   NHKの財務を分析した記事では、NHK本体は法人税負担がないうまみがあるとの指摘も。478億円ほどの税前利益があり、一般事業会社なら140億~150億円前後の税負担があるが、NHKの税負担は単体ではゼロ、連結でもわずか25億円に過ぎない。

   2008年以降、会長職には経済界出身者が続いている。NHK改革を政治課題と位置づけた官邸が、自ら人事権を行使して送り込んだ会長たちである。

   今、話題のノンフィクション「国商」(森功著、講談社)と読み比べて納得がいった。昨年亡くなったJR東海名誉会長の葛西敬之氏と親交の深かった安倍晋三元首相のラインで、NHK会長人事が操られていたことが詳細に書かれていたからだ。

   このほか、コンサル主導の新人事制度も取り上げている。ビジネス誌がNHKの問題にこれほど斬り込んだのは珍しい。

新NISA、最大で1920万円分が非課税投資に

   「週刊エコノミスト」(2023年1月24日号)の特集は、「NISA徹底活用術」。株式や投資信託の運用益に税金がかからないNISAが大幅に拡充される。その賢い使い方をまとめている。

   政府は昨年12月、NISAのさらなる大幅拡充を決め、24年1月から始まる。現行制度との違いが大きいことから「新NISA」と呼び、区別している。

   メリットを生かして資産を築きたいなら、24年まで待つ必要はないという。23年は現行制度を利用して運用し、24年以降は新NISAで運用すれば、最大1920万円分の非課税投資ができる。

   新NISAの拡充点をまとめている。名称は「一般NISA」は「成長投資枠」に、「つみたてNISA」は「つみたて投資枠」にそれぞれ変わる。

   非課税期間が無期限になる、年間投資枠が増える、非課税となる最大投資枠が増える、両者の併用が可能になる、非課税枠の再利用ができる――こういったメリットがある。

   新NISAを利用すると、1年間で最大で360万円投資できる(成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円の合計)。リタイアした60代、70代は、銀行の定期預金を一部解約してNISAに移して運用し、配当金を生活費の一部にする手もあるようだ。

   新NISAはどんな人に向くのか。株式評論家の山本伸氏と経済ジャーナリストの荻原博子氏の対談も興味深い。「使ったほうが得なのは明らか」という山本氏に対して、荻原氏は「値下がりしたら損が膨らむ」と慎重な構え。

   政府が投資を勧めるようになった時代。経済や株式市場についても自分で勉強することが欠かせないことを痛感した。(渡辺淳悦)

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