2024年 4月 26日 (金)

30歳時点で、男女の年収差額少ない企業ランキング 3位朝日新聞・国税庁・ローソン...では、1位の2社はどこ? ポイントは「完全実力主義」「働きやすさ」

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   賃金の男女格差が許されなくなった。2023年3月期決算から、上場企業を対象に有価証券報告書内での「人的資本の情報開示」が義務付けられ、男女間の賃金格差状況もホームページなどで公開しなくてはならなくなるからだ。

   そんななか、転職・就職のための情報プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク(東京都渋谷区)が2023年2月21日、「30歳時点で男女の年収差額が少ない企業ランキング」を発表した。

   男女完全平等の年収をほぼ実現している企業には、どんな特徴があるのか。その企業風土を探ると――。

  • 男女が全く同じ条件で働く(写真はイメージ)
    男女が全く同じ条件で働く(写真はイメージ)
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製薬、医療、メディア、官公庁、小売り、航空...多彩な企業

   OpenWorkは、社会人の会員ユーザーが自分の勤め先の企業や官公庁など職場の情報を投稿する国内最大規模のクチコミサイト。会員数は約535万人(2023年1月末時点)だ。

   OpenWorkでは、企業の評価を「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20代成長環境」「人材の長期育成」「法令順守意識」「人事評価の適正感」の8つの指標を5段階で評価している。

   そのなかには、企業や官公庁の「年齢別年収」を浮き彫りにするコンテンツもあり、登録された会員の年収データをもとに、独自のアルゴリズム(計算システム)によって企業ごとに異なる賃金カーブを、25歳から5歳刻みで可視化することができるという。

   それをもとに男女の年収差額の少なさを調査した結果、同率1位(男女年収差額1万円)にカメラ・複合機の大手メーカーのキヤノンと、携帯電話販売代理店のベルパーク、同率3位(同2万円)に大手新聞社の朝日新聞、国税庁、大手コンビニチェーンのローソンがランクインした。

   また、同率6位(同3万円)に製薬会社の薬品武田薬品工業、裁判所、8位(同4万円)にマーケティング支援のインテージ、同率9位(同5万円)に総合出版事業の大日本印刷、スペインに本拠があるアパレルブランドのITXジャパンが入った。

   11位までは差額6万円、月収にすると5000円だから、ほぼ差がないレベルといえる。

   30位までのランキング表をみると、専門性が高い職種を多く持つ製薬・医療関連企業や、もともと業種自体が専門性を持つメディア、官公庁などが多くランクインした。

   また、シフト勤務などにより女性も労働時間を調整しやすい、アパレル・小売、航空関連などの現場・現業系企業も多く名前を連ねているのが特徴だ。【図表】

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(図表)30歳時点で男女の年収差額が少ない企業ランキング(OpenWorkの作成)

ジョブ型「役割給」のキヤノン、体育会系成果主義のベルパーク

   1位のキヤノンは、2005年ごろからいち早く「役割給制度」を導入している。いわゆる「ジョブ型」の給与体系に切り替えており、性別年齢別にとらわれない組織になっている。実際の社員クチコミでも「昇給は年1回の昇級試験次第」「男女関係なく実力主義」という声が上がっている。

キヤノン「G2等級からG3等級は、社内の試験に合格すれば、数年で昇格できる。ここで年収が一段変わる」(開発・男性)
キヤノン「開発部門では女性社員が少ないものの、仕事内容や待遇で男性社員と差が出ることはない。出世に関しては、男女比率から考えると、女性の管理職も少なくないと思われる」(開発、女性)

   一方、ベルパークも完全実力・実績主義で、クチコミからは「資格試験に合格したら給与が大幅にあがる」などと、男女関係なく成果を出せば給与に反映されることが差額の少なさにつながっているようだ。

ベルパーク「体育会系で実力、実績主義。常に気持ちを高く持ち続けて利益を追う(実績を出す)、チャレンジすることをいとわない。若くても実力があればステップアップでき、基本給・年収を上げることができる」(店長、女性)
ベルパーク「評価制度も他の上場企業に比べて設計が細かく、一般的なMBO(目標管理)よりも細かい指標が組まれている。成果評価も完全にデジタルで、個人の成果が適切に反映され、やりがいがある。一般的に言われる上司のお気に入り評価が一切入り込まない仕組みになっているところがよいと感じる」(販売、男性)

「一人の人間として扱われる」風土が男女平等につながる

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専門性が高い技術者として働く(写真はイメージ)

   3位以下の企業のクチコミをみると、「専門性の高さ」や「労働時間の調整のしやすさ」が、誰にとっても働きやすい状態をつくり、結果として「男女差額の少なさ」につながっていることがわかる。

国税庁「男性しかできない仕事、女性しかできない仕事はなく、一人の人間として扱われている感覚があります」(調査、女性)
裁判所「専門性の高い仕事であるため、常に勉強することがある一方、激務ではないので、女性が私生活を充実させながらキャリアを積んで行きやすいと思います」(調査官、女性)
朝日新聞「女の人も結構いるので働きづらくはないと思います。パートもできる仕事がたくさんあるので、時間の融通を聞かせてシフト調整すれば大いに働けます」(主任、男性)
ITXジャパン「シフト制のため、繁忙期以外は希望の休みは取りやすいほうだと思う。有給休暇も取りやすいので、閑散期にはまとめて休暇をとることができ、プライベートは充実させられると思う」(店長、男性)
ヘネス・アンド・マウリッツ・ジャパン(H&M)「残業がないため、ほぼ時間通りに帰社でき、プライベートな時間はしっかり取ることができる。また、有給もしっかり消化させてもらえるため、自分の時間を持てやすい」(販売、女性)

   こういった案配で、ひとり一人の社員が大切に扱われている企業風土が伝わってくる。

   調査は、OpenWorkに投稿された正社員による会社評価リポートのうち、一定数の年収データをもつ2184社、18万2411人を対象とした。また、年収データは平均値ではなく、独自のアルゴリズムで各企業の男女別の30歳時の推定年収を算出、男女差額の絶対値が小さい順でランキングを作成した。(福田和郎)

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