正社員の年収中央値350万円、平均値403万円! 53万人の大調査で判明、年収の深~い謎...女性29歳と50歳が「10万円」しか差がないのはなぜ?

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   働くうえで、一番大切なものは何だろうか? 「やっぱりお金!」と答える人も多いだろう。「お金」といえば、他人の年収は何かと気になるもの。

   というわけで、綜合人材支援のパーソルキャリア(東京都千代田区)が運営する転職サービス「doda」(デューダ)が2023年3月7日、56万人のデータを使った「正社員の年収中央値調査」を発表した。

   はて、平均値ではなく中央値? と思った人も多いだろう。調査の結果、正社員の年収中央値は350万円、平均値は403万円とわかった。両者の違いから浮かびあがる「年収の深~い謎」とは?

  • 年収はアップしてほしい(写真はイメージ)
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年収は「平均値」より「中央値」のほうが生活実感に近い

   調査は、転職サイト「doda」に登録した正社員として働く20歳~65歳までの約56万人のデータを元に、年収中央値を中心にまとめたもの。

   言うまでもなく、中央値とはデータの「位置関係」を軸にした値で、データを大きさ順に並べたときに、ちょうど「中央にある値」を指す。

   平均値の場合は、ごく一部の極端に年収が高い人たちのために平均年収が跳ね上がるが、中央値ではその影響を受けない。年収を比較する際、大半のビジネスパーソンにとって、中央値のほうが平均値より「生活実感」に近いといえる。

頑張る女性の年収が上がらないのはなぜ?(写真はイメージ)
頑張る女性の年収が上がらないのはなぜ?(写真はイメージ)

   調査ではまず、約56万人のデータの年収中央値を調べると、350万円だった。年収分布を見ても、300万円以上~400万円未満の層が一番多いことがわかる。一方で、平均年収は403万円だった。平均値が中央値を53万円も上回ったのは、1000万円以上の年収が高い層(1.7%)が平均値を引き上げたからだ【図表1】。

(図表1)年収の分布(dodaの作成)
(図表1)年収の分布(dodaの作成)

男性は50代まで上昇するが、女性30代から横ばいに

   男女別で見ると、男性の年収中央値は400万円(平均年収:449万円)、女性の年収中央値は303万円(平均年収:347万円)となった【再び図表1】。

   次に、年収中央値の推移を年齢別、男女別にみると、男女ともに20代前半から後半にかけて年収が上昇傾向にあることがわかる。しかし、30歳ごろを境に、男女で傾向の違いがみられる。

   男性は、40歳手前まで平均値と中央値であまり差がなく、年齢が上がるにつれて年収も伸びていく。しかし40代になると、平均値は上昇傾向にあるものの、中央値は500万円のまま横ばいの状態が続くのだ【図表2】。

(図表2)年齢別の年収中央値と平均年収のグラフ(dodaの作成)
(図表2)年齢別の年収中央値と平均年収のグラフ(dodaの作成)

   一方、女性は30歳手前までは平均値と中央値であまり差がなく、年収は上昇傾向にある。しかし、年収中央値は29歳以降横ばいの状態が続き、50代半ばまで350万円~360万円を推移していく。29歳から50歳ごろまで、わずか約10万円しか上がらないのだ【再び図表2】。

   この傾向は、年代別に年収中央値と平均値をみた【図表3】をみると、より鮮明になる。女性の30代、40代の中央値は350万円、そして50代以上になっても360万円で10万円しか変わらないのだ。

(図表3)年代別の年収中央値と平均年収の表(dodaの作成)
(図表3)年代別の年収中央値と平均年収の表(dodaの作成)

   これは、女性が出産や育児など、ライフスタイルの変化によって仕事量を調整していることや、昇進する人が少ないことが理由として考えられるという。

   ちなみに、男女ともにピークは60歳となっている。60歳以降は、再雇用や再就職をする人が多いこともあり、年収が下がる傾向にある【再び図表2】。

医師の高年収はわかるが、「たばこ」がトップの理由は?

やはり医師の年収は高い(写真はイメージ)
やはり医師の年収は高い(写真はイメージ)

   続いて、年収中央値が高い職種をみると、最も高いのは「医師」で、855万円(平均年収:1027万円)となった。「医師」は、中央値と平均値の差が全職種で最も大きかった。これは、医師の担当領域が多岐にわたることと、年収が極めて高い医師が一部に存在するために差が生じたと考えられる【図表4】。

(図表4)職種別年収中央値ランキング(dodaの作成)
(図表4)職種別年収中央値ランキング(dodaの作成)

   2位は「運用(ファンドマネジャー/ディーラー)」で710万円(平均値:845万円)、3位は「投資銀行業務」で700万円(平均値:850万円)、4位に製薬会社などに所属して医師や薬剤師に自社の医薬品を販売する「MR(医療情報提供者)」で650万円(平均値:700万円)だった【再び図表4】。

   年収中央値が高い業種をみると、1位は「たばこ」メーカーで700万円(平均値:769万円)、2位は「投信/投資顧問」で600万円(平均値:768万円)。「投信/投資顧問」は全業種の中で最も中央値と平均値との差が大きいことから、収入の個人差が大きい業界であるといえる。

   3位は「医薬品」メーカーで550万円(平均値:617万円)、4位はシャンプー、洗剤、おむつなどパーソナルケア用品の「トイレタリー」メーカーで500万円(平均値:552万円)だった【図表5】。

(図表5)業種別年収中央値ランキング(dodaの作成)
(図表5)業種別年収中央値ランキング(dodaの作成)

   それにしてもなぜ「たばこ」がトップなのか。「たばこ」メーカーといえば、JT(日本たばこ産業)が思い浮かぶが、会社ウォッチでは、上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる企画のうち、「『タバコ離れ』なのに、就職大人気のナゾ...JT社員の平均給与はいくら? 気になる業績推移や平均勤続年数もチェック!」(2022年11月4日付)という記事で、JT社員の平均年収を897万8793円(43.4歳)と取り上げた。高収入の理由は記事で明らかにしているので、興味があればご覧を。

   調査は、2021年9月~2022年8月の1年間に転職サイト「doda」のサービスに登録した約56万人のデータを元に、正社員として働く20歳~65歳の年収(万円)をまとめた。年収額は手取りではなく支給額。(福田和郎)

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