2024年 6月 17日 (月)

受信料値下げしたNHKを揺るがす「いいニュース」と「悪いニュース」...「アンチNHK」から「NHK愛」まで、ネット民が提案する「私のNHK改革アイデア」

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   2023年6月21日、NHKにとっても国民にとっても「いいニュース」と「悪いニュース」が同時に起こった。

   「いいニュース」は、総務省の認可によってNHKの受信料が、ささやかだが値下げしたこと。「悪いニュース」はNHKを揺るがす不祥事が、現会長が前会長を処分するまでに発展しそうになったことだ。

   さあ、どうするNHK? ネットの間では多くの「NHK愛」(?)にあふれる人々から「私のNHK改革」のアイデアが寄せられている。

  • 東京渋谷のNHK放送センター
    東京渋谷のNHK放送センター
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同じ日に起きた「受信料値下げ」と「現会長が前会長を処分」

   総務省の公式サイト「日本放送協会放送受信規約の変更の認可」や報道をまとめると、総務省は6月21日、NHKの「地上契約」の受信料を月額1225円から1100円に125円値下げすることを認める、と発表した。

   また、「衛星契約」も月額2170円から1950円に220円値下げする。さらに、親元を離れて暮らす被扶養の学生も新たに徴収を全額免除する。10月1日から適用し、値下げは20年10月以来3年ぶりとなる。

   NHKは昨年10月に値下げする方針を示し、今年5月に総務省に申請していた。受信料値下げがNHKの「いいニュース」なら、この日、NHKの「悪いニュース」もあった。

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家族そろってテレビを見る光景が珍しくなった(写真はイメージ)

   稲葉延雄会長の定例会見が開かれ、NHKが今年度予算で未認可の配信業務にからむ不適切な支出を決定していた問題で、稲葉氏は前会長・前田晃伸氏の名を挙げ、「責任と処分がどこまで考えられるかを念頭に置きながら、手続きを進めている」と、前田前会長の処分を検討していることを明らかにしたのだ。

   この問題は、NHKがインターネット配信サービス「NHKプラス」にBS番組を加えるための設備調達予算として、総務省が認可していない不適切な費用約9億円を盛り込んでいたもの。

   衛星放送番組のネット配信は、まだ認められていないのに、その関連費用を前田前会長と一部理事らが稟議(りんぎ)書を回すかたちで勝手に予算に計上。予算を審議する理事会に説明せず、国会の承認まで得ていた。朝日新聞の報道で発覚した。

   稲葉会長は会見で、「そもそも衛星放送の配信は経営として決定していませんし、予算、事業計画に含まれていませんでした。にもかかわらず、稟議が進められたことは、公共放送のガバナンス上、あってはならないこと。重く受け止めています」と謝罪。再発防止のため、会長直属のアドバイザー委員会をつくると発表した。

   なお、NHKによると、今年1月に退任した前田前会長の退職金はまだ支払われていない。今後の処分をめぐり、支給を先送りしているようだ。退任幹部の退職金の処分では、職員による番組制作費の着服で2005年に辞任した海老沢勝二元会長らに減額して支給した例がある。

   仮に、会長自身が不祥事に関わっていたとすれば、減額支給ですむものか、注目される。

BBCの『J-POPの捕食者』、同じ公共放送のNHKが報道すべきだった

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テレビのあり方とは(写真はイメージ)

   いずれにしろ、今回のNHKの「いいニュース」と「悪いニュース」、ヤフーニュースコメント欄ではさまざまな意見が寄せられている。まず、「悪いニュース」から。厳しい意見が相次いだ。

「国民の望んでいるのは不祥事の再発防止ではない。この組織の解体である。そして何度も言う、公共放送とは何か? 教えてほしい。民放各社も公共性が求められるのは同じだ。BS予算問題、企業統治の問題ではない。予算を勝手に作ることができる、勝手にどこに使うか決められることが問題」
「稟議のあり方、経営の意思決定の仕組みなんて世間はどうでもよく、早く受信料なるものの徴収について改革していただきたい」
「会長すら意図的に金銭的不祥事を起こすNHK。どこに受信料を強制徴収する資格がある?」
「専門委員会の費用も『みなさまの受信料』から払うのですかね? 私はテレビを持っていないので関係ないですが、テレビを持ち、受信料を払っている方はどう思うのでしょうね?」
「『報道の自由度ランキング』で日本は世界70位前後。これは韓国、台湾のずっと下に位置する。BBCのドキュメンタリー『J-POPの捕食者』、BBCより先にNHKが報道すべきだった。同じ公共放送として恥ずべきだ。NHKは紅白やさまざまな番組にジャニーズタレントを起用している。民放と変わらず、ジャニーズに忖度している。このままではNHKの不要論がますます加速するだろう」

   あるいは、こんな角度からも......。

「皆さんのコメントを見ると、反NHKがいかに多いのかがわかる。ガーシーが当選できたのも、ガーシーにではなく『NHKをぶっ壊す』という(旧NHK党の)選挙公約に対してだと思う。国政選挙で組織もないのに議員を1人当選させるということは大変なこと。それだけ多くの国民が反NHKだということ。公平に報道するなら、それについてもちゃんと放送してほしい。そして受信料撤廃、スクランブル放送開始でいい」

NHKは東京1局にして、革命的な「サイマル放送」に!

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テレビよりスマホ動画を見る人が増えた(写真はイメージ)

   一方、「いいニュース」であるはずの「受信料の値下げ」を歓迎する意見はゼロに近いといってもいいだろう。いまや公共放送、NHKの役割は終わった、と指摘する意見が目立つ。

「(戦後の)街頭テレビの時代、一部の金持ちの家にしかテレビがなかった時代。そんな時代に日本全国に放送網を構築するには、金持ちから金を集める。(放送法は)大義もあっていい法律だったかもしれない。いまや、複数の民間放送局が存在している時代になった。
民放は広告主に忖度した内容しか出せないって? だから公共放送が必要だって? マジで言っているのか? あまりにも国民を見下して、馬鹿にしているとしか思えない。複数の情報源から見聞きすれば、ウソのような情報はすぐバレる時代だ」
「わが家は3月末にチューナー付TVを廃棄し、チューナーレス・ディスプレイに変更しました。NHKの受信料も払う必要はありませんし、YouTubeがあれば楽しく過ごせます。昨今の学生さんの多くは、免除対象者というよりも、支払い対象外者なのではないでしょうか」
「私もチューナーレスのモニターにしてアマプラ、Abema、TVerを視聴しています。何の不自由もないですが、ときどきNHKの番組を見たいと思うことがあり、NHKオンデマンドの契約をしようか迷います。今のところ毎月1000円の価値を見いだせていませんので、契約していません」

   そして、多くの人から「私のNHK改革論」が寄せられた。

「NHKは各地に地方局を持っている。北海道には7局(札幌・旭川・函館・帯広・室蘭・北見・釧路)もあります。意味ない。各地に根付く意味はあったかもしれないけど、もうとっくに役目を終えました。東京1局制にしてネットを利用、サイマル放送。スクランブル」

   サイマル放送とは、1つの放送局が同じ時間帯に同じ番組を、異なるチャンネル、放送方式、放送媒体で放送することだ。たとえば、地上アナログテレビ放送、地上デジタルテレビ放送、衛星放送、ワンセグ放送などの組み合わせがある。

   インターネットなどのIPネットワーク上で、電波による放送と同内容のものを配信する場合もIPサイマル放送と呼ばれる。

滑舌の悪い同時通訳を、AIの同時通訳に替えては?

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AIを活用しては?(写真はイメージ)

   経費の節減方法にもさまざまな提案が出た。

「NHKはなぜあんなにたくさん気象予報士を使うのだろうかと思います。朝のニュース番組に2人、夕方のニュースにも2人と、ちょっと多すぎる。気象予報士はニュース番組に1人いれば十分でしょう」
「確かに気象予報士は2人も要らん。アナウンサーも2組いる。そのうえAIを使った原稿読みがなぜいるのか。無駄が多すぎ」
「ライブ映像でもないニュースに、滑舌の悪い同時通訳を使う意味が分からない。すべてAI音声の同時通訳でいいです。AI音声を使い始めるにあたって、こんな声が出てくることは予想されたはずですけど」
「ナレーションに有名俳優を使ったりしている。受信料が余っているのが丸わかり」
「公共放送をうたうなら、芸能人を使わずに番組を作ればいい。それで十分経費は削減できるよね。多くの国民が思っていることは1つだと思う。受信料が高過ぎる。公共放送というのであれば公共放送に特化すればいい。娯楽番組など作る必要がない。身の丈に合った経営をしろと言いたい」

   スクランブル化についても、こんなアイデアが。

「まず、受信料は強制の部分と任意の部分の2段階に分けるべき。そして、強制の部分は月額500円以下にして、ニュースとか公共性の強い番組のみスクランブルなしで見られるようにする。大河ドラマとかバラエティーは任意でスクランブル式にすればよい。これでNHK側の主張と視聴者の希望が両立できる」

100年、200年後まで残る見事な映像は、NHKしか作れない

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災害時の放送はNHKの役目(写真はイメージ)

   また、公共放送の役割を極めるために、災害時の放送に特化すべきだという提案もあった。

「災害で停電になり、ネットもテレビも見られない、かなりヤバい事態になったと想定しましょう。そういう情報の最後の砦は、国営化して守るのがよさそうです。ラジオだけ維持して、自家発電設備も充実させて放送を死守する。私もアナログラジオは置いています。ラジオだけなら維持費は安く抑えられるし、多くの国民も納得するのではないかと思います」
「NHKは、公共放送から放送インフラへの脱皮を図るべきだと思います。民放と同じような番組を放映して、視聴率を争っているように見える現状は、見るに耐えません。定時のニュースと天気予報、政見放送など必要最低限の番組を放映し、余った時間は音楽を流しておけばいいです。
そうやって最低限の放送網を稼働しておき、急な災害時に広く国民へ情報を発信するのです。当然受信料も格段に下がるでしょう。ニュース番組も、豪華なセットは不要。むしろ、必要となるのがあまねく人々に情報を伝える手段。
NHKのEテレで、手話ニュースを放映しています。簡易なセットで、聴覚障害者はもちろん、健常者が見てもわかりやすい。短い時間でその日のニュースがうまくまとめられています。今後、NHKが目指すべき方向性の1つの例になると思います」

   100年、200年後を見据えた意見も寄せられた。

「現在のNHKの映像価値の存続をどうするか、の議論が大事。NHK嫌いが多いけど、文化面での貢献は絶大。100年後、200年後、こんな映像よく残っていたな!とその時の日本人に感動を与えることができるのはNHK映像。薙刀の試合とか見る? 日本アルプスの生態系とか? 自分も全く興味ないけど、大事さは理解している」

   こうした「NHK愛」にあふれる人々のさまざまなアイデアと提案、実現できる日が来るだろうか。(福田和郎)

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