画期的な経済統計「赤ちゃん物価指数」は、なんと消費者物価の2倍! 考案したエコノミストパパが訴える「今すぐ、粉ミルク、紙おむつの現物支給を!」【専門家に聞く】

   とどまるところを知らない物価上昇。一番困っているのは、実は赤ちゃんを育てている世帯かもしれない。

   パパとして赤ちゃんを育てているエコノミストが、その負担の大変さを数値で示そうと、総務省発表の「消費者物価指数」から赤ちゃん用品を抽出、「赤ちゃん物価指数」を考案した。

   すると、直近の2023年5月の「赤ちゃん物価」は、「消費者物価指数」(生鮮食品を除く総合)3.2%の2倍近い6.0%に達した。エコノミストは一刻も早い対策を訴えている。

  • 笑顔の家族(写真はイメージ)
    笑顔の家族(写真はイメージ)
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「粉ミルク」13%増、「紙おむつ」7%増、「玩具自動車」12%増...

   「赤ちゃん物価指数」のリポートをまとめたのは、横浜銀行グループのシンクタンク「浜銀総合研究所」(横浜市西区)の主任研究員、遠藤裕基さんだ。

   同研究所のプレスリリース(2023年6月29日付)「『赤ちゃん物価指数』を作成しました!――赤ちゃん物価(おもちゃ除く)の伸び率は過去最高に――」で発表した。

赤ちゃん(写真はイメージ)
赤ちゃん(写真はイメージ)

   それによると、「赤ちゃん物価指数」は消費者物価指数に含まれる品目のうち、赤ちゃんの必需品である「粉ミルク」「乳児服」「紙おむつ(乳幼児用)」「人形」「玩具自動車(おもちゃ)」を一定のウエートにもとづき、合成した指数だ。

   直近2023年5月の赤ちゃん物価指数は前年同月比プラス6.9%と、消費増税の影響があった2015年1月以来の高い伸びとなった。【図表1】。

(図表1)赤ちゃん物価指数(浜銀総合研究所の作成)
(図表1)赤ちゃん物価指数(浜銀総合研究所の作成)

   また、「玩具自動車」を除き、赤ちゃんにとって特に必要な「粉ミルク」「乳児服」「紙おむつ(乳幼児用)」にしぼって合成した「赤ちゃん物価指数(おもちゃ除く)」は同プラス6.0%と、赤ちゃん物価指数の作成に必要な統計が揃う1990年以降で、最も高い伸び率となった【再び図表1】。

   5月の「赤ちゃん物価」の具体的な伸び率(前年同月比)は、「粉ミルク」(プラス13.4%)、「乳児服」(マイナス3.8%)、「紙おむつ(乳幼児用)」(プラス6.7%)、「人形」(プラス0.6%)、「玩具自動車」(プラス12.4%)と、「粉ミルク」と「玩具自動車」が突出して急上昇していることが目立つ【図表2】。

(図表2)赤ちゃん物価指数の内訳品目の伸び率(浜銀総合研究所の作成)
(図表2)赤ちゃん物価指数の内訳品目の伸び率(浜銀総合研究所の作成)

   遠藤さんはリポートで、こう結んでいる。

「5月は粉ミルクの価格上昇が、全体の赤ちゃん物価の伸びを加速させる要因となりました【図表2】。足元では大企業を中心に賃上げの動きが広がりつつありますが、他方で、『赤ちゃん物価指数』で確認されたように、子育て関連商品の値上がりは賃上げによる所得増を上回る勢いとなっており、子育て世帯の負担の高まりが改めて確認できました」
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