70歳までの就業機会確保の努力義務、人手不足あるなか...シニアの就労参加は進むか? シニア採用積極的でない企業74.5%、理由に「人員の充足」「体力面の不安」...

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   人生100年時代というが、シニアの就労参加、働き方の実情はどうか――。

   リクルートの調査研究機関「リクルートジョブズリサーチセンター」が2023年6月30日に発表した「『シニア層の就業実態・意識調査2023』分析レポート」によると、シニア層で就労意欲のある人は37.8%だったが、就労意欲はあるのに5年間就職活動しても就職先が見つからない人は53.7%という結果が出ている。働き手と、働く企業の間にミスマッチが起きているようだ。

   シニア層の採用に積極的ではない企業の理由では、「人員が充足している」「体力面で不安がある」などの意見が上位に上がっている。

就労意欲のある人は37.8%、後ろ向きな人は32.0%

   2021年4月の法改正で、70歳までの就業機会の確保が努力義務となった。企業もさまざまな取り組みを進めているが、シニア層に対する企業の採用意欲に対しては、まだまだ十分とはいえず、課題となっている。だが一方では、少子高齢化や人手不足が深刻化するなか、シニア層の就業促進がカギであることは間違いない。

   そうしたなか、シニアを取り巻く就労参加の状況、企業のシニア採用の実態や課題をまとめたのが、今回の調査結果、および分析である。なお、今回のレポート上では、シニアを60歳以上と定義。

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(リクルートジョブズリサーチの作成)

   調査によると、シニアの就労意欲について、「ぜひ就労したい」が「18.3%」、「やや就労したい」は「19.5%」となり、就労する意欲のあるシニアは「37.8%」だった。

   一方で、「どちらともいえない」が「30.3%」。「あまり就労したくない」が「19.5%」、「全く就労したくない」が「12.5%」。後者の2つをあわせ、就労に後ろ向きな人は「32.0%」ということになる。その差は、就労する意欲のあるシニアが5.8ポイント上回った。

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(リクルートジョブズリサーチの作成)

   続いて、シニアの就労意欲を就業状況別で見てみると、「ぜひ就労したい」と回答した人の内訳は「正社員」(28.5%)、「契約社員・準社員」(32.3%)、「パート・アルバイト」(23.6%)、「派遣社員」(28.2%)、「会社経営者」(24.0%)という結果になった。

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(リクルートジョブズリサーチの作成)

   シニアの就労状況について「5年以内の仕事探しの経験」についても聞いている。それによると、「非就業×就労したい(現在非就業かつ、今後の就労意欲あり)」層のうち、「仕事探しをして、新しい仕事か?決まった」は「11.5%」となった。

   その反面、「仕事探しをしたが、見つからずに、現在も仕事探しの最中」と答えた人は「24.0%」、「仕事探しをしたが、現在は仕事探しをやめている」は「21.8%」、「仕事探しを始めたばかり」は「7.9%」となった。これらの3つをあわせると、意欲があっても仕事が見つからない人の割合は「53.7%」ということになる。

   シニアの就労意欲と就労状況に関して、同社は次のように指摘している。

「60~74歳のシニアの就労意欲は、2016年から少しずつではあるものの着実に高まり、60代以降でも働くということが、より身近になっていることが分かりました。
一方で、働きたくても働けないシニアもいる、という実態も見えています。現在非就業のシニアのうち、約4人に1人が『ぜひ就労したい』もしくは『やや就労したい』考えています。
就労意欲はあるものの働けていないシニアを一人でも多く就労につなげられるよう、まずは取り組むべきではないでしょうか」
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