2024年 5月 3日 (金)

マイナンバーに国民総スカン! 「マイナ健康保険証」一体化、反対が賛成の1.7倍! 目玉の「スマホ搭載サービス」...「知らない」過半数、「使わない」6割

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   マイナンバーカードのトラブルが止まらない。コンビニで別人の住民票発行、健康保険証に他人の登録、他人の年金情報やクレジットカードと紐(ひも)づけ......と、国民の不信感が募るばかりだ。

   政府は2024年秋に健康保険証を廃止し、マイナカードに一本化する方針を決めているが、大丈夫なのか。そんななか、モバイル専門の市場調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2023年7月13日に発表した「2023年マイナンバーカードに関する実態調査」によると、「マイナ保険証」一体化には反対が賛成を大きく上回ることがわかった。

   また、政府が進めているマイナンバーのスマホ用電子証明書を知っている人も半数以下と、お粗末な実態が明らかになった。

  • スマホだけでできる電子証明書搭載サービス(写真はイメージ)
    スマホだけでできる電子証明書搭載サービス(写真はイメージ)
  • スマホだけでできる電子証明書搭載サービス(写真はイメージ)

約4人に3人が持っているマイナカードだが...

   健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに一本化する「マイナ保険証」とともに、政府がマイナカードを使ったデジタル化推進の柱に据えているのが、「スマホ用電子証明書搭載サービス」だ。

   マイナカードと同等の機能をスマホに移すサービスで、これによりマイナカードを持ち歩くことなく、スマホだけでさまざまなマイナカード関連サービスの利用や申込ができるようになる。

   デジタル庁の公式サイト「スマホ用電子証明書搭載サービス」によると、【図表1】のように、今年5月から2024年にかけて、マイナポータルを通じて順次、「子育て支援」「引っ越し」「確定申告」「薬剤・健診情報」「母子健康手帳」「予防接種」などの各種サービスがスマホ1つでできるようになる。

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(図表1)スマホ用電子証明書搭載サービスの内容(デジタル庁公式サイトより)

   MMD研究所の調査は、全国の18歳~69歳の男女5000人が対象。まず、「マイナンバーカードを持っている」と聞くと、「持っている」が73.8%となり、「現在申請中」が3.3%、「持っていたが返納した」が1.1%、「持っておらず、申請も行っていない」が13.4%となった【図表2】。

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(図表2)マイナンバーカードの所有率(MMD研究所の作成)

   約4人に3人が持っているわけで、この結果、マイナカードを申請したことがある割合(「現在所有」「現在申請中」「返納」の合計)は78.2%であることがわかった。

   マイナカード所有者に、マイナカードの使用用途を聞くと(複数回答可)、「マイナポイント申請」(53.0%)が最も多い。次いで「本人確認書類(身分証明書)として使用」(26.1%)、「住民票、印鑑証明書などの各種証明書をコンビニで取得」(25.3%)などが続いた【図表3】。

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(図表3)マイナンバーカードの使用用途(MMD研究所の作成)

マイナの「本丸」スマホ搭載サービス、「利用したい」は4割

   政府の本来目的である「各種サービスのデジタル化」への理解や利便性より、ポイント付与の効果が大きいことがあきらかになったかたちだ。

   続いて、マイナカード普及の「本丸」であるスマホ用電子証明書搭載サービスについて「知っているか」と聞くと、認知(「知っており、内容を理解している」と「言葉を聞いたことがあるが、内容は知らない」の合計)は46.2%となり、「知らない」人が過半数の53.8%となった【図表4】。「内容を理解している」(17.8%)人は2割以下というありさまだ。

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(図表4)スマホ用電子証明書搭載サービスの認知度(MMD研究所の作成)

   これを性別年代別で見ると、認知度が高かったのは男性20代(56.6%)。次いで男性40代(51.1%)、男性10代(50.7%)と続いた。女性で一番高かったのは20代(49.4%)だった。

   興味深いのは、男性では年代が高くなるにつれ、認知度が低くなるが、女性では逆に年代が高くなるにつれ、認知度が高くなることだ【再び図表4】。

   これは、「子育て支援」や「確定申告」、「母子手帳」「予防接種」「健診情報」「銀行・証券口座開設」など各種サービスの実際の手続きを、家庭の中では「妻」である女性が担い、「夫」である男性はノータッチであるケースが多いからと思われる。

   次に、スマホ用電子証明書搭載サービスについて説明したうえで、「利用したいかどうか」を聞くと、「利用したい」(14.1%)と「やや利用したい」(27.7%)を合わせて、「利用意向」(41.8%)を示したのは約4割にとどまった【図表5】。

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(図表5)スマホ用電子証明書搭載サービスの利用意向(MMD研究所の作成)

   これは、政府のデジタル政策の「本丸」としては、あまりに低い評価ではないのか。

   性別年代別で見ると、利用意向が高かったのは男性20代(58.1%)、次いで男性10代(56.0%)、男性30代(49.1%)と続く。しかし、全体的に女性の「利用意向」が低く、認知度では高かった女性50代~60代も30%前後しかない【図表5】。スマホ操作に自信がないのだろうか。

「マイナ保険証」一体化、「反対」は「賛成」の1.7倍

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マイナンバーカードと健康保険証(写真はイメージ)

   さて、現在、批判の矢面に立たされている「マイナ保険証」一体化問題だが、「賛成か反対か」を聞くと、「賛成」(11.1%)、「やや賛成」(13.7%)を合わせて24.9%が「賛成」と答えた。一方、「反対」(27.8%)と「やや反対」(13.4%)を合わせて41.3%が「反対」と答えた【図表6】。

   「反対」が「賛成」の1.7倍だ。ここは、いったん仕切り直したほうがよいのではないか。

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(図表6)「マイナ保険証」一体化への賛否(MMD研究所の作成)

   調査は2023年6月22日~26日、全国の18歳~69歳の男女5000人に、インターネットを通じてアンケートを行なった。(福田和郎)

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