楽天銀行の上場、公募増資など3300億円、西友HD株の売却...「なりふり構わぬ」資金調達 携帯事業の赤字体質の改善目指して
楽天Gにとって、好調を維持する金融子会社の上場は、重要な資金調達の手段だ。
前述の楽天証券株売却益775億円のほか、23年4月には、楽天銀行株の上場で717億円を調達(J-CAST 会社ウォッチ「楽天銀行、東証プライム市場に新規上場へ...グループの財務改善がねらいか 立て直し急務の『赤字垂れ流し』携帯電話事業に『伸び代』は?」(2023年4月3日付参照)。
さらに、23年5月には公募増資、三木谷浩会長兼社長の資産管理会社などへの第三者割当増資で計3300億円を調達した。食品スーパー大手の西友ホールディングス(HD)の株式も、米投資ファンドに約220億円で売却すると発表している。
これに楽天証券HD(最大1000億円)も加わることになり、まさに、なりふり構ってはいられないという趣だ。
楽天Gが資金確保に奔走するのは、携帯事業が赤字体質から脱出できないからだ。
自前の基地局整備などへの投資が1兆円を超える一方、携帯電話の料金引き下げの「国策」のあおりで大手3社との差別化に苦労するなど、契約者数拡大は苦戦している。
インターネット通販(EC)は好調ながら、楽天G全体の2022年12月期決算は、営業損益は3638億円の赤字(前期は1947億円の赤字)、最終(当期)損益も3728億円の赤字(同1338億円の赤字)と、4期連続で水面下に沈んだままだ。
携帯電話事業の営業損益は4928億円の赤字と、前期の4211億円から悪化している。