最近のある調査によると、アップルの最新OS「MacOSXLeopard(レパード)」は、発売から1ヶ月間の売り上げが過去最高を記録したという。もう忘れかけていたが、マイクロソフトの「WindowsVista」も今年(07年1月)発売されたのだった。世界のパソコン市場でのWindowsOSの圧倒的なシェアを考えれば、「Leopard」が人気だといっても、コップの中の嵐かもしれない。しかし、ビスタだって「売れてる」という話は聞かない。凪の大海のような静けさを保ったままだ――って、あら!? マックについて書いていたのに、いつの間にかウィンドウズの話になってしまったようだ。昔のガチンコ対決、いまでは大人の関係に「MacOSXLeopard」はネット直販価格で14800円。「Vista」よりは割安だマックは――ウィンドウズ抜きには語れないのかもしれない。筆者がパソコンを本格的に使いはじめたころなどは、周囲にはマック愛好者が多くいて、両者の違い(水と油、クールなクリエイターとダサいサラリーマン等々)や、マイクロソフトとウィンドウズ、そしてビル・ゲイツの悪口をたっぷりと聞かされたものだ。そして、スティーブ・ジョブズとゲイツは永遠に不倶戴天の敵同士なのだと、筆者は純粋に信じていた。だが、時は移り、人は変わる。1997年、2人は手を取り合い、両社は提携した。いまではアップルとマイクロソフトは一面ではライバルであり、一面ではパートナーという“大人の関係”に見える。マイクロソフトの基幹ビジネスソフト「MicrosoftOffice」はマック版も発売されているし、iPod+iTunesはウィンドウズでも使える。ウィンドウズと仲良く同居できる「BootCamp」最新OS「Leopard」にも、ウィンとマックの一種の友情関係を感じさせる新機能が正式に搭載されている。MacOSとWindowsのデュアルブートをサポートする「BootCamp」だ。デュアルブートとは、ひとつのパソコンに2つのOSを入れること。パソコンの電源を入れ、ブート(起動)時にOSを選択して使う。そもそも、マックがウィンドウズ系PCと同じIntel製CPU(チップセット)を採用したことで、両者の機械的な違いはほぼなくなっていた。「(技術的に可能なのだから)ウィンドウズもインストールしたい」というマックユーザーのリクエストに対し、アップルは「BootCamp」搭載で正式に承認を与えた形となる。これは筆者には大きなメルクマールに見えるし、「Leopard」成功が「BootCamp」に代表される親ウィンドウズ路線と無縁とは言い切れないだろう。WindowsアプリがMacOS上でそのまま動く!?いまではデザインに優れたMacBookをWindows機として使うことができるマック上でウィンドウズを使うには、ほかに「VMware」など仮想マシンを使う方法もある。ただ、本物とまったく同じように使えるかと言えば、そうは行かないようだ。デュアルブートにしても再起動でOSを切り替えるのは面倒だ。マックはさらにウィンドウズに近づくのではないか。そんな観測も出ている。WIREDVISIONには、近い将来、WindowsアプリがMacOS上でそのまま動くようになるかもしれないという記事が――“噂"レベルとしてだが――が出ていた。「Leopard」には、そう取れる証拠があるというのだ。記事の結びでは、2008年1月のMacworldで、スティーブ・ジョブズがウィンドウズアプリ対応を発表するのではないかと示唆している。ネット上では「もし本当ならうれしい」と歓迎するマックユーザーの意見を多く目にした。そこまで急に、そして大胆にマックのウィンドウズ化が進むのか。筆者は大いに疑問だが、何をやるかわからないのがジョブズという人物でもある。とにかく、マックとウィンドウズの関係にどんな変化、進化が起きるのか――来年も目が離せそうにない。
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