2024年 4月 27日 (土)

日欧の「環境技術」どっちが上?
「若」対「壮」激論!クルマ談義(2)

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   「若者のクルマ離れ」をテーマにした前回の「激論!クルマ談義」は、アクセス数が約5万件、コメントも約80件と大きな反響があった。2回目となる今回は、いま最もホットな話題といえる「環境対策」をテーマに取り上げる。コメント大歓迎。「若」と「壮」の熱い議論にあなたも参加しませんか。

エンジンが優れているのはどっち?

今回もモノウォッチ編集部の「壮」と「若」が熱い議論を交わした
今回もモノウォッチ編集部の「壮」と「若」が熱い議論を交わした

☆壮   コメントがたくさん寄せられたので、びっくりした。

★若   僕も驚きました。しかも、長い文章のコメントが多いですね。

☆壮   体験をベースにしたものや、日ごろから考えていたことを、しっかり書き込んだコメントが多かった。「感謝!」の一言だよね。こんなにすごい読者が見ているんだということを肝に銘じて、2回目を始めよう。今回のテーマは、環境対策について、日本と欧州の取り組みがどう違うか、どっちが優れていると思うか。

★若   まず、排気ガスを出すエンジンを考えましょう。メーカーの動きを見ると、欧州では内燃機関そのものの改善を重視していて、ディーゼルエンジンに力を注いでいます。それに対し、日本では内燃機関と電気モーターを併用するハイブリッド化や燃料電池が中心。そこが大きな違いでしょう。僕は、エンジンそのものを良くしていこうとする欧州のやり方が現実的だし、トータルに見れば環境への負荷も小さくできるのではないかと思います。

☆壮   トヨタのプリウスが「世界初の量産ハイブリッドカー」として売り出されたのは、10年前のことだ。国内では賞賛されたけれど、欧米では燃料電池車ができるまでの過度的な技術にすぎないと、冷ややかな見方もあった。でも、燃料電池の実用化はまだまだ先のことだし、ハイブリッドは有力な環境対策だという見方が今では定着しているよ。欧米でも導入するメーカーが増えているし。

★若   たしかに燃料電池は、燃料供給をどうするかなど、問題が山積みですからね。でも、ハイブリッドカーにも問題がありますよ。そもそもエンジンとモーターと2つの動力源を積むのは合理的でないし、リチウム電池の後始末もたいへんなんです。

目を見張るディーゼルエンジンの進化

かつてのディーゼルのイメージは通用しなくなりつつある(写真は「アウディV12TDIエンジン」)
かつてのディーゼルのイメージは通用しなくなりつつある(写真は「アウディV12TDIエンジン」)

☆壮   ディーゼルの進化はすごいと思う。ちょっとショックを受けたのは、この3月のジュネーブモーターショーで、VWが最新のディーゼルエンジンとモーターを組み合わせた「TDIハイブリッド」を出品したというニュース。NOxを90%削減し、燃費も29.4km/Lだそうだ。日本のハイブリッドはうかうかしていられない。

★若   もともとディーゼルエンジンは熱効率が高いですからね。それに、圧縮比が高いので頑丈に作られていて、寿命も比較的長いです。

☆壮   ディーゼルは燃料を余り選ばないから「脱石油」にも向いている。なにしろ去年のダカールラリーでは、片山右京さんのチームが使用済み天ぷら油で9000kmを完走しちゃった。バイオマス燃料もディーゼルと親和性が高いし。

★若   でも、日本では燃料の軽油の硫黄分が高いことがネックになっていましたね。硫黄分が高いと、排ガス浄化装置の触媒が劣化しやすいですから。クリーンディーゼルを普及させるには石油精製も含めたインフラを整えることが必要です。

☆壮   そこなんだ。欧州は燃料も含めてディーゼルの進化に取り組んできた。だからメルセデスやBMWなどの高級車にも広がったと思う。日本のメーカーだって、いすゞのように欧州メーカーにディーゼルエンジンを供給するところがあるし、技術は負けていないけれど、メーカーが孤軍奮闘している感じ。エンジンの進化では欧州に軍配が上がるだろうな。

無断変速(CVT)か、デュアルクラッチ(DCT)か?

ランエボ、GT-RもDCTを搭載する(写真は日産GT-R」)
ランエボ、GT-RもDCTを搭載する(写真は日産GT-R」)

★若   じゃあ、変速機に関して言えばどうでしょう。前回の「クルマ談義」で、僕はオートマティック(自動変速機)全盛になって運転する楽しみが奪われているんじゃないかと言いましたが……。

☆壮   欧州では、マニュアル変速(MT)にオートマ機能をくわえて2ペダルで運転できるデュアルクラッチの変速機(DCT)を登場させた。一方の日本は無断変速システムのCVTを進化させてきたね。最近は軽自動車も採用しているくらいだ。

★若   MT中心の欧州、AT中心の日本という構図がよく表われてますね。

☆壮   MTはエンジンの出力をダイレクトに伝えるから燃費がよいといわれている。オートマ(AT)はトルクコンバーターの流体を介するから出力ロスが生じやすい。これに対して、CVTは2つのプーリーを金属ベルトでつないで自在に変速する仕組みなので、理論上無駄がない理想の変速機なんだ。しかも、変速の幅を大きく取れるので、エンジンの回転数も下がりやすい。ひいては燃費もよくなる。

★若   CVTの物理的特性として高速域に弱いとはいわれていますが、信号が多い日本の道路事情を考えると、メリットのほうが大きいでしょう。ただ、長距離走行が多い欧州の乗り方だと、2ペダルのMTのほうが運転の楽しさでも燃費の面でも有利だと思います。クルマの使われ方を考えると、変速機に関しては引き分けでしょう。

関連産業も巻き込んだ「総力戦」は日本が有利?

☆壮   3つ目の論点として、あまり注目されていないけれど、軽量化という問題を考えてみようか。欧州と日本で同じクラスの車を比較すると、日本車の方が軽い傾向にある。VWのポロと、ホンダ・フィットやマツダ・デミオを比べると、50~100kgも違うんだ。

★若   そんなに違いますか。動力性能や燃費もかなり影響されますね。

☆壮   日本車の軽量化は、薄くても強い高張力鋼のような優れた素材のおかげだと思う。日本の鉄鋼メーカーの技術力は世界一だからね。鉄よりはるかに軽い炭素繊維をボディに使う技術も開発中だけど、これも東レなど日本企業の独壇場だ。

★若   読者のコメントに「クルマは1万点の部品でつくられている」とありましたが、自動車というものは、鉄鋼以外にも、プラスティックや電装品など実にさまざまな工業製品の集合体です。自動車会社は素材や部品のメーカーに厳しい要求をし、各メーカーもそれに応えてきたから、日本車が高い競争力を持ったと言えますね。

☆壮   そう、自動車は技術力の総合戦だ。軽量化はその一つの成果と言っていい。この戦いは日本が有利じゃないかな。

環境対策に真剣に取り組んだ企業が生き残る

短いモデルサイクル、果たして中古車の行方は……(写真はトヨタ「クラウン」)
短いモデルサイクル、果たして中古車の行方は……(写真はトヨタ「クラウン」)

☆壮   厳しい排ガス規制は自動車産業を窮地に追い込むという声があるけれど、これに対して言っておきたい。今から30年ほど前、米国でマスキー法という厳しい排ガス規制の法律ができた。肝心の米国ではメーカーの猛反発もあって廃案になってしまったけれど、ホンダは副燃焼室を持つCVCCエンジンを開発して、不可能と言われた基準を達成し、世界的なメーカーへの足がかりをつかんだんだ。他のメーカーも技術を磨いて、日本車は世界中で評価されるようになった。結局、環境対策に真剣に取り組んだ企業が生き残ると思うよ。

★若   フェラーリすら環境対策の参考出品をしています。環境対策技術に目を向けないメーカーは退場するしかないでしょう。ただ、最新の環境技術って、新車に限った話なんですよ。モデルチェンジをして新型モデルが出るたびに、古い技術の中古車がどうなるのかを考えなきゃいけないと思うんです。

☆壮   日本の中古車は東南アジアとかロシアとかに輸出されているよね。

★若   そこが問題です。環境問題に国境はありません。地球規模で考えなきゃならないのに、新型モデルの新技術が進んだからと言って手放しで喜ぶわけにいきません。そもそも4年程度でフルモデルチェンジするのはおかしいですよ。

☆壮   欧州は7~8年のサイクルだよね。その代わり随時改良を加えていくから、中身は進化していく。

★若   環境問題という点から考えると、基準を達成していない古い車もちゃんと改良する必要があります。そこまでアフターケアにも力を入れたら、歴史に残るメーカーになれるのは間違いないです。未来に責任を持つメーカーだと。

☆壮   クルマははどうあるべきか、ということだね。次回は「最終回」なので、その問題を考えよう。テーマは「クルマを再定義する」だ。

   ※若者のクルマ離れは本当か? 「若」対「壮」激論!クルマ談義(1)
   ※「未来のクルマ」を定義しよう 「若」対「壮」激論!クルマ談義(3)

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