2024年 4月 20日 (土)

大橋卓弥「ありがとう」 心に響く「母への言葉」

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『ありがとう』
大橋卓弥(from スキマスイッチ)/2008年4月2日発売/シングル
初回生産限定盤[CD+DVD]AUCK-19029/30  1575円  通常盤[CD]AUCK-19028  1260円
(NHK土曜ドラマ「刑事の現場」主題歌)


   どうなんだろう? 「感謝」を言葉にすることって、最近減ったのではないかと思うのだが……。

   世紀の悪法だと勝手に思っている俗に言う介護法というやつがあるが、あの法律が施行されて余計にそう思うようになった。それまでは嫌々だろうと仕方なくだろうと喜んでだろうと、家族や、近所の面倒見の良い人間との人間関係の中で高齢者介護というものは行われてきた。

   そこには照れがあろうと、義務感があろうと、それを乗り越える深い絆があった。家族は手伝ってくれた近所の人への感謝の気持ちを、饅頭一つでもお裾分けし贈ることで確かに表した。高齢者は、家族や近隣の人々に合掌して感謝を表した。よく見る光景だった。だが、最近は見ない。

   なぜなら高齢者介護は、介護士の専権行為であり、見方を変えれば家族であってもその権利を奪うことはできない。そしてその購いとして、金銭の授受が行われる。腕の上げ下ろし一つでさえ、金銭の発生する行為なのだ。介護保険法を見ればその3分の1は金の話だ。 だが、法律は法律で、何時の間にか誰もが介護法の精神に則り、特養ホームや老健に高齢者を預け、居宅サービスを頼んでも「金を払ってるんだから」という気分が拭い去れない。なんのこっちゃだ。

   自分以外の人の面倒を見ることは、ある種自分を捨てる行為で、時間やそれに付随する様々の付加価値をも犠牲にしなければならない。だがそれをすることで、人は成長する。子供を育て、親を見送る……それが出来て初めて人は一人前と言っても良い。そこには本来金銭の授受や利害関係は介在しなかった。

   母親が子供を育てるのに、子供に金銭を要求するか?という話だ。貧しかった時代に子供を働きに出したり、成人した子供に面倒を見てもらうのを前提に子育てする人もいただろうし、今でもいるだろう。だがそれは個人のものの考え方のレベルだ。法律ではない。

   とはいえ、人の心の奥に「感謝」という思いがなくなったわけではない。そのことを改めて感じさせてくれたのが、大橋卓弥(from スキマスイッチ)の「ありがとう」だ。直裁ではあるけれど、言葉の力を久しぶりに感じさせてくれた。最近、なにかの反動かもしれないが、母への思いが歌われることが多い。すぎもとまさとの「吾亦紅」もそうだった。近々ヒップホップMCのSEAMOも「MOTHER」という曲を出すようだ。

   筆者自身も老いた母を施設に預けている。しばらく母の家で居宅サービスを受け、その都度通ったが無理があった。今でもこの手に引き受けたいと思い、時折胸が苦しくなる。感謝の思いは胸の奥にしまったままだが……。


【ありがとう  収録曲】

01. ありがとう
(NHK土曜ドラマ「刑事の現場」主題歌)
02. 冷たい世界
03. たしかなこと(VOICE × VOICE Vol.2:小田和正)
04. ありがとう<backing track>

同時発売
『スキマスイッチARENA TOUR '07"W-ARENA"』
通常盤2枚組 AUCK-18023/4 3150円

加藤普



◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70〜80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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