日産自動車が最高技術を注ぎ込んだ夢のクルマとして、この冬の話題をさらった「GT-R」。この注目のスポーツカーに、J-CASTモノウォッチの編集部員が試乗するチャンスに恵まれた。そのときの様子をちょっと辛口な対談で振り返る。まるで「鉄のカタマリ!」の迫力あるボディ目の前で見たGT-RのボディはゴツかったGT-Rの試乗会は、日産の本社がある銀座で行われた。以前モノウォッチでも紹介した「特別試乗会」に編集部のスタッフが当選したのだ。その日、クルマ好きの編集部員ゼンキチとコウタは満を持して銀座に向かった。同乗する日産の技術スタッフに案内されて試乗車のもとへ。向かった先にはシルバーのGT-Rが待ち構えていた。全長4655mm、全幅1895mm、全高1370mmのボディに、最高出力480馬力の3.8リッターV6ツインターボエンジンを積んだ国産スポーツカーが目の前にある。スタッフに促されて、車内に乗り込む。ゼンキチが前の運転席に乗ってハンドルを握り、コウタは後部座席に納まった。それから30分間。運転者と同乗者という立場で、二人はGT-Rという「未知のクルマ」を味わった。ゼンキチ 「間近で見た外観は、あまりスポーツカー然としていなかったなあ。近くで見ると大きく感じるデザインで、ヨーロッパ風のスポーツカーというよりは、アメ車をカスタマイズしたような印象だった」コウタ 「想像していたよりも、最低地上高(地面から車体の一番低い部分までの高さ)が高かったね。デザインとしては『鉄のカタマリ!』というイメージが強くて、『洗練』という言葉からは遠い感じだった。運転席に座った感想はどうだった?」ゼンキチ 「シートが体をしっかりサポートしていたね。前を見ると、スピードメーターの目盛りが340kmまで刻まれていて、『これがGT-Rなのか』と思ったよ」コウタ 「後席もサポートはしっかりしていた。それに後席の天井にあった、上着や小物を引っ掛けるためのフックの動きもスムーズで、作りこみも手を抜いてないなぁと思ったね」力強いエンジン、加速の凄さに恐怖を感じたGT-Rの車内から。加速すると視界は一気に狭くなるゼンキチ 「エンジンはやはり並のクルマとは違った。スターターボタンを押して、エンジンに火が入った瞬間の『ドリュリュン』ってエンジン音の迫力はすごかったね」コウタ 「とにかく迫力のある野太い音だった。高回転まで回しても、高らかにうたうような音にはならず、終始、野太い迫力あるサウンドだった」ゼンキチ 「実際に力強いエンジンだったよ。ちょっとアクセルを踏み込むと、その恐ろしい本性があらわになる感じ」コウタ 「後席からでもエンジンの力強さは、ひしひしと感じられたよ」ゼンキチ 「そして加速。ちょっと強めにアクセルを踏み込んだだけで、視界が急に狭まったように感じるあの加速は恐ろしいものだよ。1速だけでもだいぶ引っ張れるんじゃないかな?」コウタ 「でも、加速時にフロントが浮き上がる感じほどではなかった。そこまでの恐怖感は感じなかったのは意外だった。」ゼンキチ 「それでも、なかなか踏み込むのに勇気のいるクルマだったよ」「デュアルクラッチトランスミッション」の印象は?コウタ 「ハンドルやブレーキはどうだった?」ゼンキチ 「ハンドルは最近の日本車を基準にすると重めだけど、ドイツ車に比べると軽い。遊びが少なく、切っただけ確実に曲がるという印象だった。ブレーキはやはりブレンボ(イタリアの有名ブレーキメーカー)だけあってしっかり効いてくれたよ」コウタ 「(2ペダルで操ることができる)デュアルクラッチトランスミッション(DCT)の印象は?」ゼンキチ 「変速ショックが大きいと思った」コウタ 「たしかに変速時のショックと音はかなり大きかったね。トランスアクスルのレイアウトを取っていて、ギアボックスのすぐ近くに後席があるからだと思うけど、後席に座っているとかなり変速ショックが気になった」ゼンキチ 「少々ぎこちない感じもしたよね」コウタ 「特に左折など低速時にぎこちなかったね。半クラが使えないからなのか、単純にギアが冷えてただけなのかはわからないけど……」ゼンキチ 「ただ、最速0.2秒で変速可能というのはやはりすごい。即座にギアが上がっていく」コウタ 「同乗した日産のスタッフの人が『シフトダウン時にはブリッピング(エンジンの空ぶかしをして回転数を合わせること)をしますよ』って言っていたけど、本当にちゃんとエンジンと同調させるのには感動したね」スピードを追い求める「孤高のドライバー」向きのクルマ?日産本社ギャラリーに飾られたGT-Rは人気者ゼンキチ 「後部座席の乗り心地とかはどうだった?」コウタ 「GT-Rは、思ったよりも足がしなやかだったね。もっとガチガチなものを想像していたので、ちょっとびっくりした。もちろん普通の乗用車に比べたら固いほうだと思うけど」ゼンキチ 「街乗りも十分こなせるレベルだったね。でも後席は頭上とかちょっと辛かったんじゃない?」コウタ 「どうしてもリアウインドーのあたりで頭がつかえてしまう。成人男子にはかなり窮屈だと思う。やはり2シーターのクルマと割り切るべきじゃないかなぁ」ゼンキチ 「後席に乗り込むまでもちょっと大変そうだったしね」コウタ 「乗り降りが簡単とは、とてもじゃないけどいえないよ」ゼンキチ 「ところで、GT-Rってどういう人が買うんだろうね? スタッフの人は『40代~50代が購買層の中心』って言ってたけれど、わかる気がする。彼女と乗るデートカーではなく、スピードを追い求める孤高のドライバーが乗る車って感じがした」コウタ 「でもこのクルマのコンセプトって、よく分からないところもある。日産の人は『誰でも安全に運転できるクルマですよ』と自慢しながら、その一方で『素人は高速に乗せられない』なんて言っていた。車内の設備にしても、後席は2つあるのにカップホルダーは1個だけとか、不思議な部分も少なくなかったな」ゼンキチ 「ただ、動力性能は文句なしにすごかった。それは街乗りだけでも十分わかる」コウタ 「その点は異論ないね」ゼンキチ 「実際に乗ってみたら、GT-Rは確かにすごい車だった。サーキットで思い切り走ってみたいなとも思った。けれど、欲しいかというとそうでもない。なんていうか、色っぽさが感じられないんだよね」コウタ 「同感。加速やDCTなど、物理的に"すごい"ところはたくさんあったけれど、いまひとつ感情に訴えかけてこない。でもこれは、人によって評価が分かれるところだと思うけどね」ゼンキチ 「GT-Rは、スーパーカーでもプレミアムカーでも、またデートカーでもない不思議な立ち位置のクルマ。そんな印象が残った試乗会だったよ」
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