2018年 7月 18日 (水)

鴎外『即興詩人』、安野光雅氏がみごとに口語訳

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安野光雅氏が心をこめて口語訳した『即興詩人』
安野光雅氏が心をこめて口語訳した『即興詩人』

   アンデルセンが童話作家になる前にイタリアを旅行し、そのときの体験をまとめた「即興詩人」は欧州の各地で評判を呼んだ。その「即興詩人」をドイツ留学中に読んだ森鴎外は、日本に帰国後、約10年がかりで翻訳し、雑誌や単行本に著した。日本でも話題となり、鴎外訳「即興詩人」を手にしてイタリア各地を巡る旅をした学者は後を絶たなかった。近年では、画家で装幀家の安野光雅氏もその1人だ。安野氏は、作品の舞台となったイタリア各地をスケッチし、『絵本 即興詩人』(講談社、2002年)を、そして、2010年11月末に発売され、じわじわと注目を集めている『口語訳 即興詩人』(山川出版社)を上梓している。

   『口語訳 即興詩人』を読んだ人の次のレビューがこの本の魅力をよく表している。

「その昔、鴎外訳の文語体『即興詩人』を読んだ時は、筋を追うのがやっとで、中身を味わうことはできませんでした。安野光雅氏の口語訳は、鴎外の文章の雰囲気はそのままに読みやすくなっていて、今回は、じっくりと内容を味わうことができました。『即興詩人』はあらすじだけ追うと、それほど価値のある物語のようには思えないのですが、深く読み込むと、人の心のひだ、醜さも美しさも哀れさも、じっくりと書き込まれていることが分かりました。あえて現代風な単語は使わずに、鴎外が使っていた古い用語(姫、~の君など)を残しているところが、成功して、鴎外の雰囲気そのままに口語に再現されていると思います」

   単行本、600ページ。定価1995円。

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