2024年 4月 23日 (火)

霞ヶ関官僚が読む本
パウエル元国務長官の「自戒」にみる 心揺さぶられるリーダーの在り方論

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パウエル氏が「怖くて使えない」日本式製品とは

   与えられた責任の重さにこそ違いはあれ、軍隊での強烈な体験を通じて紡ぎ出された言葉の一つ一つに、重みと共感できる輝きがある。「まず怒れ、その上でその怒りを乗り越えろ」――激怒や失望のすばらしい点は、自制心によってそれらを必ず乗り越えていけることであり、翌朝には事態が改善しているものだ。「リーダーとして組織から常に150%の能力を引き出してくれる人物を探せ」「恐れに支配される組織にはしたくない。部下をどなりつけることがリーダーシップだと思い違いするな」――誰もが肝に銘ずべき、説得力あるメッセージだ。

   「組織人は、上から引き上げられなければ大成しないが、下から押し上げる力のほうがはるかに強い。下の目をごまかせば、足を引っ張られて消えていく。それが組織社会だ」「汗は自分でかきましょう、手柄は人にあげましょう」――直近の2フレーズはいずれも、我が国の謙虚な政治家の代名詞でもある竹下登元首相が述べた言葉だが、米国の政治家の言葉と不思議と相通じるものを感じた。

   陸軍にOBE(Overtaken by Events)という大罪があるらしい。直訳すると「事態においてけぼりを食らう」という意味だ。意思決定は拙速を避けなければならないが、すべての情報が集まるのを長く待ちすぎてもダメ、適切な判断はタイミングよく行うことが重要である、との戒めである。いかなる組織社会においても通用する普遍的な教えだろう。

   最後にパウエル氏の人柄を彷彿とさせるエピソードを一つ、引退後、講演活動のため国内外を出張する多忙な日々を送っているが、ホテルに据え付けられた日本式の温水洗浄トイレが大の苦手で「怖くて使えない」というから微笑ましい。

総務省(審議官級)TM

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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