2019年 5月 19日 (日)

開高健ノンフィクション賞の『五色の虹』 幻と消えた「満州建国大学」の実像に迫る

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   真っ赤な夕陽が大地に落ちる。五族協和、王道楽土のユートピア・・・戦前多くの日本人のロマンをかきたてた旧満州。そこに「最高学府」として設立されたものの、わずか8年余で幻のごとく歴史の闇に消えた大学があった。

   「満州建国大学」――。第13回の開高健ノンフィクション賞を受賞した『五色の虹』(集英社、2015年12月刊)は、そんな建国大学の実像と、卒業生たちの戦後に迫った物語だ。旧満州について書かれた本は多いが、建国大学に絞ったものは極めて珍しい。

  • 五色の虹
    五色の虹

「同窓会名簿」を手掛かりに

   厚さ1センチほどの小冊子が、朝日新聞の社会部記者・三浦英之さんの記者魂を揺さぶった。「建国大学同窓会名簿」だ。見開いた瞬間、職業記者の「性」(さが)に火がついた。卒業生たちを訪ね歩き、彼らの半生を記録したいという衝動に駆られたのだ。もはや存命の人もわずかだ。今が最後の機会になる・・・。

   満州建国大学は1937(昭和12)年、「満州国」の首都・新京(長春)に設立された。発案者は石原莞爾だという。満州国の建国から5年後のことだ。全寮制で学費免除。日本人、中国人、朝鮮人、モンゴル人、白系ロシア人の優秀な若者を選抜し、満州国の次代の指導者を養成するのが狙いだった。

   1期生は定員150人。応募者は約2万人。大変な倍率だった。合格者は日本人65人、中国人59人、朝鮮人11人、モンゴル人7人、ロシア人5人、台湾人3人。

   三浦記者は2010年6月に東京で開かれた「最後の同窓会」取材などをがきっかけに同窓会名簿を入手、その後もコツコツと国内外に足を延ばした。中国、台湾、韓国、モンゴル、カザフスタン。同窓生約1400人のうち、もはや存命は300人ほど。若くても90歳に届く。まさに時間との闘いだった。

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