2024年 4月 26日 (金)

わが子ら通う教室に望む教師像もかくや その信念と理想の伝承を

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【補論】学校多忙化への対策試案

   余計なことを書けば書くほど、本書の良さからは遠ざかってしまうと感じる。拙い書評は以上で出尽くしである。

   だが学校多忙化への対策は、管理の改善のみでは足りない場合もあろう。蛇足ながら、教師の負担を減らす試案をお示しする。本書評は匿名なので、あくまでアイデア程度としてご笑覧頂ければ幸いである。

(1)IT化による合理化

   まず、校務運営の抜本的なIT化に取り組んではどうか。

   学校は毎年やるべきことが定式化している上、多数の生徒の管理や家庭との連絡など大量の処理が必要な事務も多く、IT化による効率化になじみやすい。

   例えば、児童の欠席は連絡ノートを持参させて確認する学校が今もって多々あるが、メール一本で済ませれば、ノートを確認して出席簿に写し、給食担当に連絡して食数を減らすなどの教師の手間も、共稼ぎの両親がノートを持参する手間も省ける。自らの仕事でITの恩恵を感じられない者がITを活用した教育を求められる矛盾も解消しよう。

(2)首長部局の役割

   次に、行政各部門との有機的な連携だ。

   子供の貧困が深刻になるに伴い、教師がその支援に奔走している実態がある。生徒の家庭を訪問して生活保護の申請方法を教える教師や、家庭で食事もろくに与えられない生徒に食べ物を配る教師の話を何度も聞く。子供への愛情故に、教科教育どころかケースワーカーを買って出る教師の負担を、首長部局は積極的に引き受けてはどうか。公立校の教師には教職調整費という割増があり、他の公務員よりも高給だ。高給者が低い給料の者の本来業務を抱え込むのは人員効率も悪いだろう。

(3)アウトソーシング・集約化

   三番目に、上記(2)を更に進め、学校外に積極的に仕事を移してはどうか。

   給食センターは成功例と思うが、それ以外のアウトソーシングはほとんどない。学校外での非違行為の指導、メンタルケアなどは校内で処理されるが、教科指導という本来業務は塾にアウトソースする動きがある。これは本末転倒で強い違和感がある。

   補導センターが好例だ。警察官と教師のOBが外部から指導していたからだ。荒れた学校の親・生徒には学校不信があるので、センターが間に入って信頼回復を図っていた。だが校内暴力の沈静化と補助打切りで、各県ともセンターを廃止した。現状、困難校に「生徒指導加配」と称する教師の追加配置はあるが、学校不信は教師数で抑えられるものではなく、苦慮する事態もあると聞く。

   個々の学校に点在する事例を現場限りで解決しようとすれば、ノウハウが蓄積されずプロが育ちにくい。集中処理すれば対処の質が向上するのみならず人員効率も上がる。補導センター(名称変更は検討に値しよう)、(メンタル)ケアセンターなどとして複数校で共通する課題を集中処理する体制を作ってはどうか。

酔漢(経済官庁・Ⅰ種)

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【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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