2万年前の「ラスコー壁画」展 最新テクノロジーでよみがえる

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   東京では毎月のように大規模展覧会が開かれている。その中でいま最も興味深い展覧会といえば、東京・上野の国立科学博物館で開催中の「世界遺産ラスコー展」だろう。

   なぜなら、展示されているのは約2万年前の洞窟壁画。人類最古級の芸術作品であり、今に至る様々なアートのルーツといえるからだ。

  • 再現されたラスコー壁画。会場は暗いが、写真撮影できる場所もある
    再現されたラスコー壁画。会場は暗いが、写真撮影できる場所もある
  • ラスコー展のポスター
    ラスコー展のポスター

近くの遺跡からクロマニョン人

   ラスコーの洞窟壁画は1940年、フランス南西部で地元の少年たちが偶然見つけた。地下に長く伸びる入り組んだ洞窟の側面や天井に、約600頭もの動物が描かれていた。当初は一般公開されていたが、1963年以降、保存のために閉鎖された。

   この一帯には多数の先史時代の遺跡がある。近くのクロマニョン洞窟では1868年、数体の人骨化石が出土し、クロマニョン人と名付けられた。元はアフリカにいたが、その後、世界各地に移動、ヨーロッパには数万年前に現れたとされる。現代人の直接の祖先であり、ラスコーの壁画もクロマニョン人のものと考えられている。

   それまでのネアンデルタール人と違って、クロマニョン人は技術や文化がかなり進化した集団だった。たとえば、糸を通すための穴を開けた骨針を作っていた。自分たちの衣服を裁縫していたことがうかがえる。遺跡からは、貝殻ビーズの帽子や動物の歯を加工したアクセサリー類も見つかっている。

「逃げ恥」にも登場

   ラスコーの壁画は、クロマニョン人が欧州各地に残した多数の洞窟壁画の中でも、描かれた動物の数や質の面で最高レベルとされる。1979年、世界遺産に登録された。今回展示されているのは、展覧会用に特別制作された移動可能なレプリカだ。1ミリ以下の誤差の精度で本物の洞窟壁画の主要部分が再現されている。

   鮮やかな彩色、細かな線刻。暗い洞窟の中で、わずかなランプの明かりを頼りに描いたとは思えないほど精巧だ。小走りする馬、ぶつかり合うバイソン。2メートルを超える巨大な黒牛が実物大で登場する。特殊なライトを当てることで隠れていた動物まで浮かび上がった。2万年前のクロマニョン人の芸術が、最新のデジタル技術を駆使してリアルによみがえっている。

   会場が科学博物館ということもあって、親子連れ、子供連れが多い。ゲーム感覚で楽しめる展示物や、当時の動物のはく製などもあり、退屈しない構成になっている。昨年12月にはTBSの人気ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のロケにも使われた。

   同展は2月19日まで。そのあと宮城・東北歴史博物館(宮城県多賀城市、3 月25日〜5月28日)、福岡・九州国立博物館(福岡県太宰府市、7月11日〜9月3日)に巡回する予定。

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