2024年 4月 26日 (金)

万里の長城マラソンに視覚障がいランナー 日本から2人出場し完走

初めての方ご注目!プロミスなら最短1時間融資でお急ぎでも大丈夫!

   2017年5月、小さな鈴の音(以下鈴の音)のメンバーが向かったのは万里の長城である。

   「万里の長城マラソン」は今年16回を数えるマラソン大会で、世界から約200人が参加した。鈴の音からは、ゴビ、サハラの両砂漠を完走した村木さんと中国人の視覚障がい者がエントリー。伴走者は中国と韓国から3人。さらにイギリスとアメリカからもそれぞれ1人が、伴走の練習をしたいと参加した。

  • 今年5月上旬、(一社)小さな鈴の音は、第16回万里の長城マラソンに参加した。(写真・Small Bell Sound)
    今年5月上旬、(一社)小さな鈴の音は、第16回万里の長城マラソンに参加した。(写真・Small Bell Sound)
  • 普段は都内の会社でITシステムエンジニアとして働く金基鎬(キム・ギホ)さん。視覚障がいをもつ韓国男性がサハラ砂漠を完走した体験記『神の息 サハラ』を読んで触発された。(写真・フォトグラファー 渡辺誠)
    普段は都内の会社でITシステムエンジニアとして働く金基鎬(キム・ギホ)さん。視覚障がいをもつ韓国男性がサハラ砂漠を完走した体験記『神の息 サハラ』を読んで触発された。(写真・フォトグラファー 渡辺誠)
  • 2011年、日韓両国旗を背負ってナミビアのサハラ砂漠マラソン250Kmを完走。2013年には日本人全盲ランナーを伴走し、チリのアタカマ砂漠マラソン250kmを完走し、話題になった。完走すると「完走賞」としてメダルが授与される。(写真・フォトグラファー 渡辺誠)
    2011年、日韓両国旗を背負ってナミビアのサハラ砂漠マラソン250Kmを完走。2013年には日本人全盲ランナーを伴走し、チリのアタカマ砂漠マラソン250kmを完走し、話題になった。完走すると「完走賞」としてメダルが授与される。(写真・フォトグラファー 渡辺誠)
  • 万里の長城は、階段の段差、面の奥行きも同じものがない。
伴走者は、段差があると「up !」、大きな段差には「big up !」
と声をかけ、視覚障がいランナーに伝える。(写真・Small Bell Sound)
    万里の長城は、階段の段差、面の奥行きも同じものがない。 伴走者は、段差があると「up !」、大きな段差には「big up !」 と声をかけ、視覚障がいランナーに伝える。(写真・Small Bell Sound)
  • 視覚障がい者をサポートする伴走者が少しずつ増えている。
万里の長城マラソンには韓国と中国から3人。米国、英国から
各1人ずつ参加した。(写真・Small Bell Sound)
    視覚障がい者をサポートする伴走者が少しずつ増えている。 万里の長城マラソンには韓国と中国から3人。米国、英国から 各1人ずつ参加した。(写真・Small Bell Sound)
  • 世界から約200名が集まった。過去16回開催された万里の長城マラソンで初めて視覚障がい者が参加した。大会関係者から大きな拍手を浴びた。(写真・Small Bell Sound)
    世界から約200名が集まった。過去16回開催された万里の長城マラソンで初めて視覚障がい者が参加した。大会関係者から大きな拍手を浴びた。(写真・Small Bell Sound)
  • 公益財団法人韓昌祐・哲文化財団の助成事業として8月25日から2日間、富士山登山に挑戦する。(写真・Small Bell Sound)
    公益財団法人韓昌祐・哲文化財団の助成事業として8月25日から2日間、富士山登山に挑戦する。(写真・Small Bell Sound)
  • 今年5月上旬、(一社)小さな鈴の音は、第16回万里の長城マラソンに参加した。(写真・Small Bell Sound)
  • 普段は都内の会社でITシステムエンジニアとして働く金基鎬(キム・ギホ)さん。視覚障がいをもつ韓国男性がサハラ砂漠を完走した体験記『神の息 サハラ』を読んで触発された。(写真・フォトグラファー 渡辺誠)
  • 2011年、日韓両国旗を背負ってナミビアのサハラ砂漠マラソン250Kmを完走。2013年には日本人全盲ランナーを伴走し、チリのアタカマ砂漠マラソン250kmを完走し、話題になった。完走すると「完走賞」としてメダルが授与される。(写真・フォトグラファー 渡辺誠)
  • 万里の長城は、階段の段差、面の奥行きも同じものがない。
伴走者は、段差があると「up !」、大きな段差には「big up !」
と声をかけ、視覚障がいランナーに伝える。(写真・Small Bell Sound)
  • 視覚障がい者をサポートする伴走者が少しずつ増えている。
万里の長城マラソンには韓国と中国から3人。米国、英国から
各1人ずつ参加した。(写真・Small Bell Sound)
  • 世界から約200名が集まった。過去16回開催された万里の長城マラソンで初めて視覚障がい者が参加した。大会関係者から大きな拍手を浴びた。(写真・Small Bell Sound)
  • 公益財団法人韓昌祐・哲文化財団の助成事業として8月25日から2日間、富士山登山に挑戦する。(写真・Small Bell Sound)

いくら足を上げても次の段差に届かない

   万里の長城マラソン史上で、視覚障がいのランナーが参加するのは初めての出来事だった。参加者たちの前で紹介され、拍手を浴びたという。「RUNNING STREET 365」というWebサイトには、万里の長城マラソンのレポートが掲載されている。鈴の音メンバーの奮闘ぶりにも触れており、その姿が他のランナーに刺激を与えた様子が記されている。

   気温28~30C、乾燥の中、ペットボトルの水を飲み干してしまうほどだったという。しかも、村木さんによると、万里の長城コースは、階段の段差も、階段面の大きさも、ひとつとして同じものがなく、かなり歩きにくかったという。

「段差に関しては、いくら足を上げても、次のステップに足が届かない所もあり苦労しました。スロープも手すりがなく、難しいコースでした。しかもアップダウンが激しいので、筋肉痛がひどかった。ゴビ砂漠を走っても、あんなに痛むことがなかったのに」

   でも、楽しいこともたくさんあった。

   イギリスとアメリカから参加した伴走者がいた。村木さんは彼らとも一緒に走った。最初はさすがにぎこちなかった。それでも進むほどにコツをつかんでいくのがわかり、2人には「ベスト・パートナー!」と声をかけた。来年は、イギリスとアメリカの視覚障がい者が、マラソンに参加する可能性があるという。

   「いろいろな国の視覚障がいの人がレースに参加するのは嬉しい。そのお手伝いができるのは、なにより素晴らしいことです」と金さんが言う。

   タイムは、鈴の音のメンバーは同時で、8時間30分34秒。

   視覚障がい者の中には、走ることはむろん、動きづらい人も多く、どうしても家にいる時間が長くなるという。鈴の音プロジェクトが、そういう人たちへの刺激にもなればと考えている。

ネックは費用で100万円ほど

   ただ、ネックは参加費用だ。5大陸砂漠マラソンに参加するには、1人約100万円ほどかかる。協賛企業・団体を募っているが、まだ知名度が低いために、反応がいまひとつだ。万里の長城マラソン、そしてこの8月に挑戦する富士登山には、公益財団法人韓昌祐・哲文化財団が支援し、活動の貴重な財源になった。

   金さんは、小さな鈴の音プロジェクトをこれまで実施して、あらためて思うことがある。

「スポーツは競争です。でもわれわれは協力を大事にしています。われわれのプロジェクトで大切にしているのは、いかに相手のために自分が行動できるかということです。伴走者は視覚障がい者の代わりに危ない場所を歩くこともたびたびありますから、レースも終盤戦にさしかかる頃には、伴走者の靴のほうが視覚障がい者のそれよりもボロボロになります。そのような姿勢で取り組んでいると、自ずと国の壁や言葉の壁を簡単に越えるんですね。言葉は通じなくても、心のつながりができるのです」

   オリンピックとパラリンピックはある。しかし両者をつなぐスポーツがない。それを2020年、東京から始めるのもいい。

(文・ノンフィクションライター 西所正道)

公益財団法人韓昌祐・哲文化財団のプロフィール

1990年、日本と韓国の将来を見据え、日韓の友好関係を促進する目的で(株)マルハン代表取締役会長の韓昌祐(ハンチャンウ)氏が前身の(財)韓国文化研究振興財団を設立、理事長に就任した。その後、助成対象分野を広げるために2005年に(財)韓哲(ハンテツ)文化財団に名称を変更。2012年、内閣府から公益財団法人の認定をうけ、公益財団法人韓昌祐・哲(ハンチャンウ・テツ)文化財団に移行した。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中
カス丸

ジェイキャストのマスコットキャラクター

情報を活かす・問題を解き明かす・読者を動かすの3つの「かす」が由来。企業のPRやニュースの取材・編集を行っている。出張取材依頼、大歓迎!