2024年 4月 17日 (水)

繰り返される企業の不祥事 足りないのはトップの「美意識」か?

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■世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」(山口周著、光文社)

   日本経済の伸びしろはどこにあるのか――。技術、グローバル、それともイノベーション?

   かつて、「お客様は神様」という思想に、成功のカギを見出す議論があった。その通りではないか。では、「神様」は何を求めているのか?

   ワクワク、うっとりするような新しい製品とサービス。日々の暮らしを癒やし、友達、社会とのふれあいを感じさせる製品とサービス。それらはどのような企業活動から生まれるのか?

   本書は、読者のそうした疑問に答えてくれる。

The Master of Fine Arts is the new Master of Business Administration

   筆者は「グローバル企業の幹部は、論理的・理性的スキルに加えて、直感的・感情的スキルの獲得を期待されている」という。そして多くの企業・人へのインタビューを通じて、それには三つの流れがある。

   第一は、volatility 不安定、uncertainty 不確実、complexity 複雑、ambiguity 曖昧(VUCA)の事業環境を勝機に結びつけなければならないということ。経営判断は、要素還元的な論理・合理だけでは決められず、全体を直感的に捉える感性と、構想力、想像力が必要になっているのだ。

   第二は、購買者の承認欲求や自己実現欲求に応えるには感性や美意識が求められるということ。ボードリヤールが「消費社会の神話と構造」において、「先進国における消費行動が、自己表現のための記号の発信だ」と指摘したのは1970年。以来、自動車、家電製品などで日本企業は世界の賞賛を浴びてきた。先進国に加えて、新興国においても消費ビジネスがファッション化する中で、日本企業の活躍の余地はむしろ増えているとも言える。

   第三は、イノベーションには、美意識に伴う倫理観が必要であるということ。後にふれる。

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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