2018年 10月 18日 (木)

「悪質タックル」だけではない スポーツ指導者と選手の異常な支配構造

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   「絶対服従を強いる監督やコーチに追い詰められ、相手を『潰す』以外に選択はなかった」。アメリカンフットボールの試合で悪質なタックルをした日本大学の選手は、そう述べた。背景には「監督が黒と言えば白も黒」という異常な師弟関係があった。今回はアメフトに限らず、野球やバスケットボールなどスポーツにおける指導者と選手のあり方について考えてみたい。

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   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://www.j-cast.com/bookwatch/)」でも特集記事を公開中。

「愛のムチ」か? ただの「暴力」か?

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「選手を追い込むための暴力――どんなにプレッシャーがかかる場面でも平常心で戦えるように、どんなときでも監督の指令に忠実に動けるように、肉体的にも精神的にも選手を苦しめた」

   アメリカンフットボールの悪質タックルのことではない。『殴られて野球はうまくなる!?』(著・元永知宏、講談社、778円)の冒頭にそんなくだりがある。スポーツの現場で暴力を正面から肯定する人はまずいない。だが、暴力や体罰はあとを絶たない。本書は元プロ野球選手、指導者、元野球球児ら多くの関係者から取材し、暴力なしでも野球がうまくなり、チームを強くする方法はないかと探る。

   「野球界が暴力を容認する理由」「根性をつけるための暴力的な指導」「元プロ野球選手が語る『暴力』の功罪」など7章にわたり、野球指導の実態と問題点を明らかにする。著者の元永知宏さん自身、立教大学野球部の出身だ。

桜宮高校バスケット部事件は体罰だけが原因か

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   大阪市立桜宮高校バスケットボール部のキャプテンが2012年に体罰を受けて自殺した事件は今も記憶に新しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(著・島沢優子、朝日新聞出版、1728円)は、17歳が死を選んだ理由は顧問による体罰だけが原因なのかと問いかけ、綿密な取材で真実に迫る。

   各章に「指導ですか? 体罰ですか?」「嘘だらけの記者会見」「壮絶な体罰動画」「笑い声が漏れ聞こえた焼香」「法廷で兄をにらみつけた顧問」と細部をちりばめ、事件の裏側を浮かび上がらせている。

   著者の島沢優子さんも高校時代にバスケット部の顧問から殴られ、蹴られ、人格を否定され続けた経験があるという。スポーツ新聞記者を経て現在フリー。

女性指導者として初の全国優勝を達成した理由

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   『スポーツコミュニケーション スポーツ指導におけるコミュニケーションとその応用』(著・東海林祐子 ブックハウス・エイチディ、2160円)の著者・東海林祐子さんは女性指導者として男子高校ハンドボール部を初めて全国優勝に導いた人だ。快挙の原因はなんだったのか。

   はじめはひたすら厳しい練習を求めたが、気持ちが空回りして選手の気持ちをつかむことができなかった。試行錯誤の中、気がついたのがコミュニケーションの大切さだった。本書は全国優勝までの過程をベースに習得してきたスポーツ指導における理論と実践の具体例である。

   スポーツの現場の指導のみならず、企業や団体での講習にも役立つ内容だ。

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