2019年 11月 20日 (水)

中島みゆき、「歌旅・縁会・一会」
平成最後の師走に聴く12曲

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   タケ×モリの「誰も知らないJ-POP」

   今、最もチケットが取りづらいアーティストの一人が中島みゆきだろう。特に彼女が原作・脚本・作詞・作曲・主演をつとめる世界にも例のない音楽舞台「夜会」は一人二万円という高額にも関わらず入手困難超プラナチケットにもなっている。2019年1月30日から行われる「VOL.20 リトル・トーキョー」もチケット発売となり過熱ぶりに拍車がかかりそうだ。

   それに先駆けて2018年12月19日に「中島みゆきライブリクエスト-歌旅・縁会・一会」が発売になった。タイトルにあるようにこれまでの彼女のライブアルバムの中からリクエストの多い曲を中心にまとめたダイジェスト版である。

  • 「中島みゆきライブリクエスト-歌旅・縁会・一会」(初回盤、ヤマハミュージックコミュニケーションズ、アマゾンHPより)
    「中島みゆきライブリクエスト-歌旅・縁会・一会」(初回盤、ヤマハミュージックコミュニケーションズ、アマゾンHPより)

「夜会」とは異なるコンサート

   中島みゆきのステージ活動はいくつものスタイルに分かれている。一つは言うまでもなく「夜会」だ。89年に始まり今回は30周年。当初はすでに世の中に出ている曲を新しい文脈や物語の中に置くことでそれまでにない光を当てて解放するという趣旨だった。回を重ねるごとに進化し、今のような物語も曲も書き下ろしオリジナルという形になったのは、96年の「VOL.7 2/2」から。そして、2013年からは「夜会」のために書き下ろされた曲を集めたダイジェストコンサート「夜会工場」もスタート。やはり2018年12月19日には2017年から18年にかけて行われた「夜会工場2」を収めたライブDVD・ブルーレイも発売になった。

   「中島みゆき ライブリクエスト-歌旅・縁会・一会」は、そうした「夜会」関連のものではない。「夜会」が、コンサートのように「歌を聴かせる」ことに留まらない表現者としての総力を注ぎ込んだ舞台だとしたら「歌旅・縁会・一会」は、通常のコンサートツアーの映像で成り立っている。今の彼女のライブを味わえる恰好の作品だろう。

   中島みゆきのデビューは1975年。70年代・80年代・90年代・2000年代と四つの時代でシングルチャート一位を記録した唯一のソロアーティストであり、2010年代も加えて提供曲が五つの時代で一位となった唯一のソングライターでもある。

   ただ、それだけの実績がありながらライブ作品が少ないことは業界の謎として語られたこともあった。特にコンサートツアーの様子が映像化、CD化されたのはデビューから30年以上経った2007年の「歌旅」が初めてだった。

   なぜそんなに時間がかかったのか、ということに対しては当時、「ライブは一期一会。その会場の環境や条件とそこに集まった観客の空気、ミュージシャンの状態も含めてどれも毎回違う。例え数か所で収録したとしても、そのツアーを記録したとは言えない。ようやくそこを克服した完成度の高いライブが出来るようになったと思えたから」という話をしていた。

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーテイスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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