2020年開催の「東京五輪」招致を巡る贈賄問題で、フランス当局から正式捜査をされている日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が2019年1月15日、東京都内で記者会見を開いた。開催都市決定の投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)委員を買収したとの疑惑について、あらためて自身の潔白を訴えたのだが......。報道陣から批判「これが会見と呼べるのか?」竹田氏の会見は15日、午前11時から行われた。コンサルタント料として2憶2千万円もの大金が使途不明とされることについて、同氏は「(支払いは)適切な代価であったと結論づけております」と釈明。あらためて、賄賂ではなく、適切な資金であったことを強調した。しかしながら、会見時間はわずか7分、さらに質疑応答もなかったことに、報道陣から、「これが会見と呼べるのか?」「(当初は30分と聞いていたのに)7分しかしゃべらないなら、冒頭で言うべき」と、会見の内容に批判が相次いだ。ツイッター上では、「#東京五輪中止」のハッシュタグも存在し、「日本の『お・も・て・な・し』って賄賂のことなんけ?」「汚い金と不正にまみれた東京五輪など中止しろ!」「日本の地位?日本は位が高いとでも?開催国はステータスになる?何の為の五輪なのか。こんな現代のショービジネス化し、利権にまみれたオリンピックに何の価値があるのたろう。」(原文のまま)といった、開催に批判的な意見まで多く出ている。過去、五輪の中止は5回あったが...実は過去に、五輪開催中止は夏季3回、冬季2回と計5回あった。・1916年=ベルリン五輪(夏季)...第1次世界大戦のため・1940年=東京五輪(夏季)、札幌五輪(冬季)...いずれも日中戦争のため・1944年=ロンドン五輪(夏季)、コルティーナ・ダンペッツォ(イタリア、冬季)...第2次世界大戦のためと、いずれも「戦争」によって中止されている。戦後は、開催都市に選ばれながら返上した例があった。1976年の冬季五輪は当初、米コロラド州・デンバーに決定していたが、JOCのウェブサイトによると「州経済を圧迫する、自然環境を破壊するという市民団体、環境団体の反対」で取りやめに。この大会は、オーストリア・インスブルックが代替地となって行われた。国内外の企業が多額の協賛金を出資していることから、2020年の東京五輪が「お釈迦」になってしまうことはまず考えられない。だが、もし、本件で東京五輪が中止されるとなれば、史上初の「使途不明金」によるスキャンダルが原因の、最も不名誉な開催中止となってしまう。スポーツジャーナリストの二宮清純氏は、1月15日放送の「情報ライブミヤネ屋」(日本テレビ系)で、「記者会見を開いたことは評価する。だが『疑惑を払拭するため』の会見であったはず。それならば(竹田会長は)、記者の質問に『これは、こういうことですよ』とか、分からないことは『分からない』とお答えになるべきだった。7分という会見時間といい、不十分という印象を受けた」といった主旨のコメントをしている。「平和のスポーツ祭典」であるはずの五輪が、過去には国際政治関係によるボイコットが起きた。ここ30年ほどは「金まみれのイベント」の印象がぬぐえない。きれいごとかもしれないが、やはり「アスリート・ファースト」の清々しい大会にし、外国からの来訪客を真に「お・も・て・な・し」したいものである。
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