2019年 8月 18日 (日)

「日米関係をどうしていくか」 江藤淳が格闘した課題の軌跡を追う

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再販制の維持に全力を尽くした

   21世紀に入り、米国は「世界の警察官」の役割を放棄するといっている。米国に依存した「敗戦国日本」を今後どうしていくかという課題は、ますます我々がまぢかに直面するものとなった。江藤淳という、優れた鋭い知性の、この課題との格闘の軌跡を追うことは、いまや日本人であれば避けて通れないものとなっている。

   なお、出版界との関係では、江藤淳が、日本文藝家協会理事長として、平成の規制緩和の流れの中で、再販制の維持に全力を尽くしたことを知った。米国の構造協議の要求に端を発した流れに抗すべく奮闘し、その維持に成功したわけだが、その想いを関係者が真摯に受け止めていれば、今の「出版不況」も違った展開にできたのではとの感慨を持った。著者の平山氏も待望しているが、いつの日か、出版界の団結で、江藤淳全集が刊行されることを夢見たい。

   この本は、戦中・戦後文学の流れについてのある程度の知識があった方がより味わいが深いことは間違いない。評者のような「文学」に疎いものにとっては、「弱小」「文芸誌」の「文藝」を通じて、戦中から現代までの文学の流れを透徹した筆致で描いた『「文藝」戦後文学史』(佐久間文子著 河出書房新社 2016年9月)がよい導きとなった。江藤は、この「文藝」で、代表作となる「成熟と喪失」を1966年から翌年にかけて連載したほか、「文藝賞」の第4回(1966年)から第33回(1996年)まで長らく選考委員をしているなどの深いゆかりがある。江藤が、田中康夫の「なんとなく、クリスタル」を1979年の文藝賞で押したことなどが簡潔に記されている。

経済官庁 AK

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