2019年 12月 12日 (木)

正しい知識で適切ながん治療 塩野義製薬「医療用麻薬」セミナーを実施

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   塩野義製薬は2019年9月20日、医療用麻薬に関するセミナー「がん患者さんの痛みをとるために医療用麻薬について理解しておくこと 適正にご使用いただくために」を都内で開催した。

   同社が8月30日~9月3日の期間に実施した意識調査で、医療用麻薬について正しく理解されていない現状が明らかになった。医療用麻薬についての正確な情報を広め、適正な使用について啓発することがセミナーの目的だ。

   当事者団体である「愛媛がんサポートおれんじの会」理事長の松本陽子氏、星薬科大学薬物依存研究室特任教授・名誉教授の鈴木勉氏、洛和会丸太町病院院長の細川豊史氏が登壇し、講演とパネルディスカッションを行った。

  • パネルディスカッションの様子(左から松本氏、鈴木氏、細川氏)
    パネルディスカッションの様子(左から松本氏、鈴木氏、細川氏)
  • 星薬科大学薬物依存研究室特任教授・名誉教授の鈴木勉氏
    星薬科大学薬物依存研究室特任教授・名誉教授の鈴木勉氏
  • 「愛媛がんサポートおれんじの会」理事長の松本陽子氏
    「愛媛がんサポートおれんじの会」理事長の松本陽子氏

がん患者も「医療用麻薬」を誤解

   鈴木氏によると、「医療用麻薬」は、日本ではがんの痛みの治療に広く使用されている。国家の審査を受け、医薬品として製造・販売されており、適正に使用すれば有効かつ安全で、がん患者にとっては必要不可欠な薬だという。

   2017年に内閣府が概要を発表した「がん対策に関する世論調査」では、「医療用麻薬についてどのような印象を持っているか」(複数回答可)に、半数以上の人が「正しく使用すればがんの痛みに効果的だと思う」(52.9%)、「正しく使用すれば安全だと思う」(52.7%)と答えている。一方で、「最後の手段だと思う」(31.5%)、「だんだん効かなくなると思う」(29.1%)という回答も一定数有り、啓発が必要だと鈴木氏は説明した。

   塩野義製薬の意識調査(がん患者500人、一般500人から有効回答)でも、医療用麻薬に対して誤ったイメージを持っている人がいることがわかる。

   「医療用麻薬とはモルヒネに代表されるがんの痛みを和らげる薬です」と説明した上で、「がんで痛みを感じることになったとき、医師に勧められれば、医療用麻薬を使用したいと思うか」に、がん患者の28.6%、一般の37.0%が「使いたくない」「どちらかと言えば使いたくない」と答えた。

   その理由は「最後の手段だと思うから」(がん患者59.4%、一般48.1%、)「一旦使用し始めたら、止められなくなると思うから」(がん患者26.6%、一般25.7%)などが多く、中には「『麻薬』という言葉が含まれている為、怖いから」(がん患者18.2%、一般16.8%)「精神的におかしくなると思うから」(がん患者9.1%、一般11.9%)と考える人もいる。

   一般的に、大麻や覚せい剤、幻覚剤などの違法薬物を「麻薬」と呼ぶことが多いが、「医療用麻薬」とは全く異なるものであり、「医療用麻薬」の適正使用についての教育を行う必要がある、と鈴木氏は話した。

誤った情報信じ治療拒否した患者も

   父親をがんで亡くし、自らも子宮頸がんを経験した松本氏は、2008年に「おれんじの会」を設立し、多くのがん患者・家族の話を聞いてきた。

   最近は、医療者ががん患者に薬を処方する際、その効果や副作用について説明するようになってきているが、テレビや書籍から薬について間違った情報を得ている患者は、服薬を不安に思うことも多いという。

   松本氏は2013年に「治療はすべて拒否しようと思っています」と話すがん患者に出会った。

   まだ20代の若い患者で、祖母が10年前に治療を受け、苦しみぬいた末に亡くなっていた。「あんなふうになるのは絶対に嫌なんだ」と治療を受けず、痛み止めについても

「痛み止めを使うことで、余計に苦しむ時間が長くなるだけだとネットで読みました」

と拒んだそうだ。

   2018年にも、医療用麻薬を処方されている患者の家族から「本人には『麻薬』を使っているとは言えません」と相談を受けた。医療用麻薬のことを「麻薬」と呼び、

「最近少し変なことを言ったりするようになったのは、あの麻薬のせいに違いないんです」
「痛みを取るために、あんな麻薬を使わずにすむ方法はないのかと思っています。週刊誌に出ていた方法を試しに行ってみようと思っているんです」

と話したという。

   松本氏は、医療用麻薬への正しい理解を促すために、当事者の声を伝えることが有効だと考えている。

   がんで亡くなった故・小林麻央さんが2017年1月6日に投稿したブログ記事では、痛み止めを「痛み止め様」と呼んでいることが記されている。「(痛みを)コントロールができているときはとても穏やかな気持ちでいられる」という内容で、がんとは関係ないと思われる読者から「お薬ってそういう風に使うんですね」とのコメントが寄せられたという。この記事は、医療用麻薬の理解に非常に良い影響を与えたと思う、と松本氏は話した。

   セミナーの最後に行われたパネルディスカッションで細川氏は、近年がん治療では「痛み」を除いた方が効果が上がることがわかってきている、と説明した。

   塩野義製薬の調査によると、がん患者が治療について相談するのは医師に次いで配偶者・パートナーが多い。子どもや親、兄弟姉妹、友人知人など身近な人に相談する人も一定数存在する。

   効果的な治療が行われるためにも、多くの人に医療用麻薬について正しい知識を広める必要がある、と同社CSR推進部適正使用推進室長の外川真吾氏は結論づけた。

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