2021年 3月 2日 (火)

江戸時代は最低 出口治明さんは「死者を多く出し、背を縮めた」と

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ノスタルジーと現実

   時代小説やテレビ時代劇では、圧倒的な人気を誇る江戸時代である。天下泰平のもとで市井の文化が花開いた。その陰で、庶民の暮らしは意外に死と近かった...まあそうだろうなとは思うが、同時に「先生、そこまで嫌わなくても」と突っ込む自分がいたりする。

   確かに、ノスタルジーと冷徹な現実は分けて考えないといけない。

   現代史でいえば、昭和30年代への漠たる憧憬というのがある。あの「三丁目の夕日」の世界。客観的には、日本が戦災の復興を終え、高度成長や東京五輪などで国際社会にカムバックしていく時代。まだまだ貧しいけれど、多くの庶民には無限の夢があった。テレビが茶の間に行き渡り、暮らしが「電化」していく活気にあふれたあの頃である。

   他方、その時代に育った私などは五感で覚えているのだが、大気や河川の汚染が津々浦々に広がり、東京ではゴミ戦争が始まった。下水道は未整備、今の若い人なら「ウォシュレットどころか水洗便所も珍しかった」と言うだけで、3日以上はご遠慮しますと思うだろう。スマホはおろか、コンビニもないのだから。

   出口さんは、誰も見たことがない「本当の江戸時代」を文献やデータから再構成し、下層の死と為政者の責務、という硬派なテーマにフォーカスしていく。江戸マニアらに反論はあろうが、俗説を排し、事実に迫ろうとする姿勢には共感した次第。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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