2020年 5月 28日 (木)

誇り高き北欧のさわやかさ スヴェンセン「2つのスウェーデン民謡 Op.27」

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   ゴールデンウイークが明けて、日本列島は一挙に気温が上がりました。暦はまだ立夏・・つまり初夏ですが、場所によっては7月上旬並みの真夏日が出現し、一気に夏を感じるようになってきました。

   しかし、そうはいっても、まだ5月ですから、朝晩は気温も下がり、過ごしやすいのがこの時期です。湿度も真夏に比べたら低く、快適ですね。そんな今頃の季節にぴったりな、北欧の曲をとりあげましょう。

   ヨハン・スヴェンセンの、「2つのスウェーデン民謡 Op.27」です。

  • 北欧を股にかけて指揮者としても活躍したスヴェンセンの肖像
    北欧を股にかけて指揮者としても活躍したスヴェンセンの肖像
  • 北欧を股にかけて指揮者としても活躍したスヴェンセンの肖像

ノルウェー出身、生涯の多くをデンマークで過ごす

   北欧というと、古くはスカンジナビア半島の国、ノルウェーとスウェーデン、そして言語的にも民族的にも近いデンマークのことをあらわしました。現在では、民族的・言語的には遠いものの、地理的に隣国でスウェーデン領だった時代もあるフィンランド、デンマーク領だったアイスランド、ソ連が崩壊してからはバルト三国も含まれることがありますが、基本的には、スカンジナビア半島諸国とデンマークを指すことが多いようです。高緯度地域の国々なので、冬は厳しく、夏は北の地域では太陽が1日沈まない白夜があったりしますが、それほど長くありません。温帯に属し、近年の夏季の気候は熱帯の国のようになっている日本とは「夏」の質が違います。

   「2つのスウェーデン民謡」という曲を書いたスヴェンセンは、ノルウェーの出身です。正確に書くと、「スウェーデン統治時代のノルウェーのクリスチャニア、現在の首都であるオスロ生まれ」です。そして、人生の多くをデンマークのコペンハーゲンで過ごし、そこで亡くなりました。まさに「北欧人」というにふさわしい人です。彼にとっては、スウェーデン民謡を自作に取り入れることは、故郷の旋律を曲の題材として生かす、当然の行為だったといえます。

   もう少し詳しく彼の生涯を追うと、1840年に後にオスロと改名する前のクリスチャニアに音楽教師の父の元に生まれたスヴェンセンは、幼い頃からヴァイオリンとクラリネットを学びました。北欧の多くの作曲家がそうであるように、・・・ちょうど3歳年下で、ノルウェーを代表する作曲家と現在では考えられているエドヴァルト・グリーグもそうしたように・・・ドイツのライプツィヒ音楽院へ留学して音楽を学びます。最初はヴァイオリニストとしてですが、手に問題を抱えたため、作曲に専攻を変え、カール・ライネッケなどに師事しています。

   作曲で最優秀の成績で卒業したあと、彼は指揮に次第に興味を惹かれ、指揮者として活躍するようになります。ドイツから故郷ノルウェーに戻ったのもクリスチャニアでの指揮者としてのポストがあったからであり、その後、デンマークのコペンハーゲンに亡くなるまで居住したのも、コペンハーゲン王立劇場管弦楽団の指揮者としての仕事からでした。

   19世紀ヨーロッパの音楽界を席巻したと言ってもよいドイツのオペラ作曲家リヒャルト・ワーグナーとも親しく、彼の招きで、フランスや、ドイツにも指揮者として行き、生前は、作曲家としても、指揮者としてもかなり高名な存在でした。しかし現在、ノルウェーの作曲家としては、圧倒的にグリーグの知名度のほうが高いのは、生涯の多くをデンマークで過ごしたことによるのかもしれません。

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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