2020年 7月 4日 (土)

情報過多を生きる知恵 玉置妙憂さんは「わからないままでいい」と

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   ハルメク6月号の「コトノハメクリ」で、僧侶で看護師の玉置妙憂(たまおきみょうゆう)さんが、情報の大波にのまれない処世術を提案している。

   玉置さんは、自宅で夫を看取ったのを機に出家した異色の経歴。看護師として働く傍ら、メディアを含め院外でのスピリチャルケア活動を続けている。同誌の5月号から連載を始め、引用させていただくのはその2回目である。

「軽く画面に触れるだけで地球の裏側が映し出され、自分の部屋に居ながらにしてすべてを手に取るように見聞することができる。こんな魔法のような機械がひとりにひとつ、あたりまえの世の中になるなんて、誰が予想していたでしょう」

   もちろんスマホについての記述だが、通読して驚いたことに、玉置さんは最後までそのカタカナ3字をなぜか使わぬまま「魔法の機械」について論じている。

「流れ込んでくる膨大な情報の波に足をすくわれないように気をつける必要があります...手にすることができる情報は、玉石混淆であることを忘れてはいけません」

   情報の大波の中で、玉石を見分ける目を失いがちな現代人。危機感を煽る情報や、衝撃的な写真、不安をかき立てる数字などに心がささくれ立つことはないかと、玉置さんは読者に問いかける。広く情報を手に入れようとして、情報の海で溺れては元も子もないと。

「大局を見て行動することは大切です。でも、大局ばかりに目を向けていて、あなた自身の日々の暮らしがままならないのでは、本末転倒です。手の中の小さな画面に夢中になって、足元の段差に気づかず転ぶようなものですよ」
  • 心身の調子が乱れたらスマホのスイッチを切っては
    心身の調子が乱れたらスマホのスイッチを切っては
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心の納戸にしまう

   ここで玉置さんは、「わからないものをわからないままにおいておく」人間の知恵についてしばし持論を展開する。「ひと昔前は、納戸や厠(かわや)、路地裏や空き地など、生活のあちこちに『うす暗くて、よくわからない』ところがあったような気がします。私たちはそんな薄暗さをまるっと飲み込んで暮らしていました」

   ところが、文明と科学はすべてを詳らかにしようと突き進み、薄暗さを吹き飛ばしてしまった。人類が失ったのは心の余裕...現実の世はわからないことばかりなのに。

「たかが自分自身のことでさえ、わかっていないのです。すべてをその手の中の小さな機械で把握している気になっていることこそが、錯覚だったのです」

   玉置さんは、心身の調子が乱れたらスマホのスイッチを切ってはどうかと書く。「しばし手中のブルーライトを消して、ちんと、慎ましく座ってみましょう」と。

「すべての意識を自分の内側に向けて、しーんとした静けさを味わってみてください。あなたの目は、あなたの足元を見ればいいのです」

   事実はスマホの中にではなく「あなたの目の前にしかない」と説く筆者はこう結ぶ。

「わからないことはわからないままに、心の納戸へしまっておきましょう。あとは、仏さまとか、神様とか、ご先祖様とか、山とか海とか宇宙とか、なにかそういった人智の及ばない大いなるものがなんとかしてくれます。はい。大丈夫です」

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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