2020年 11月 27日 (金)

「予測」再考-どう受け止めどう生かすか-

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■『予測学 未来はどこまで読めるのか』(著・大平徹 新潮選書)

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   辞書で「予測」を引いてみた(評者の手元にあったのは「広辞苑第4版」)。「あらかじめ推測すること。前もっておしはかること」とある。そこで「推測」を引いたら「(ある事柄に基づいて)おしはかること」、「おしはかる」を引いたら「既知の事柄をもとにして、未知のことについて見当をつける。推量する。推測する」となっていた。

   著者は「予測」と関連する単語を辞書から拾ってみたそうだ。「予知」「予見」「予想」「予言」「予報」「推測」「憶測」「推定」「忖度」など。予測の対象は幅が広い。(上記の辞書の引用からも感じられるように)通常は未来のことになるが、推定、推測なども含めれば、過去から未来、原子などの極小の世界から宇宙の構造などの無限大を感じさせるところまで、時間的にも空間的にも広がっているという。

   「予測学」という統一した学問体系があるわけではないが、著者は、本書のタイトルは思い切ってつけたという。本書には、数理科学を専門とする著者と一緒に、予測とは何だろうと考えながら身近なテーマに向き合って、探検していくような楽しさを感じるところがある。

予測できることとできないこと

   本書では、地震、噴火、天気など自然現象に関する予測が紹介される。1978年の伊豆大島近海の地震などある程度予測に成功した地震がある一方、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震の本震などは予知や想定を超えていた。地震発生は多様だし、大きな地震の頻度は低く、頻度の低い現象の生起の予測はより難しいという。

   よく話題になる30年以内の地震の確率は、地震がいつ起きるかを教えてくれているわけではない。他方、天気予報は、観測網やコンピュータの発展で予報・予測技術は大きく進歩しており、精度は向上し続けている。それでも、局地的な竜巻や豪雨などの予測はまだ難しいところがあるそうだ。

   社会現象や生活に関する予測では、交通や人口に関する予測などが、数理モデルも含めて紹介される。高速道路での自然渋滞を再現できる「最適速度モデル」や、鳥の群れの動きに迫る「ボイドモデル」など、少ない条件を定式化した(シンプルな)モデルが現象をかなり良く再現できることはとても興味深い。

   今回の新型コロナウイルスの感染拡大で、1927年に提案された「SIRモデル」(これも基本的には3つの常識的な条件(機構・メカニズム)を定式化したもの)が一般にも知られるようになったように思う。本書では、感染拡大初期にこのモデルを応用して感染拡大と収束の予測に成功した例が紹介されるが、一方で、他の地域では予測が困難だったことも紹介される。数学的に定式化されたモデルでは、予想や定量化ができない要素を含む現実を捉えることは困難だ。

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