チーズ文化の普及を目指すNPO法人チーズプロフェッショナル協会(CPA、東京都千代田区)は、日本一の国産ナチュラルチーズを決めるコンテスト「ジャパンチーズアワード2020」の表彰式を2020年12月1日に実施した。グランプリおよび各カテゴリーで受賞した14のチーズ工房の代表者が出席し、表彰状とトロフィーの授与が行われた。北海道の「しあわせチーズ工房」がグランプリコンテストは、2014年から2年に1度開催されている。今年は20年10月に開かれ、全国78のチーズ工房からチーズ233種が出品された。チーズを全21のカテゴリーに分けまず1次審査を開き、各カテゴリーで上位を獲得したチーズを対象に、さらにグランプリ審査を行った。審査の結果、グランプリには「加熱圧搾/6カ月以上」カテゴリーで金賞を受賞した「しあわせチーズ工房」(北海道)の「幸(さち)」が選ばれた。長期熟成のチーズで、青草の香りやミルクの甘み、ナッツのような香ばしさが感じられる。審査委員長を務めたCPA会長の本間るみ子さんは、「幸」について「表皮のしっかりした色合いと、深みのある黄色味をおびた生地は、見ただけで美味しさが伝わってくる」と評価した。表彰式では、しあわせチーズ工房の代表・本間幸雄さんが「2013年に製造をスタートして苦労することもあったが、今は胸を張ってこれが(自分の名前から命名した)『幸』だと言えるようになった」と喜びを語った。さらに「チーズは牛と酪農家とチーズ職人が手を組んでできるもの。この賞は、そのすべてが評価されたということとても嬉しい。これからもチーズでみんなを幸せにしたいと思う」と今後の抱負を語った。新型コロナをどう乗り切るか、セミナーも実施「ジャパンチーズアワード2020」の表彰式当日には、新型コロナウイルスによって大きな影響を受けた国産チーズ業界の現状や課題、今後の展望について生産者が語るメディア向けセミナーも開催した。19年にイタリアで行われた「ワールドチーズアワード2019」では、日本のチーズがトップ10入りを果たすなど、日本のチーズ業界では明るい話題があった。しかし、20年は新型コロナの感染拡大により生活様式が大きく変化。インバウンド需要の喪失や飲食店の営業自粛・催事の自粛などが続いた。セミナーでは、今回のコンテストで部門賞を受賞した4つの工房の代表が、そうした危機をどのように乗り越えてきたのか、今後国産チーズをどのように進化させようと考えているのかを熱く語った。
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