2021年 6月 14日 (月)

「パンデミック対策」は8年前に問われていた

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

■『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』(著・東浩紀 中央公論新社)
■『日本最悪のシナリオ 9つの死角』(著・財団法人日本再建イニシアティブ 新潮社)

   「アエラ」(朝日新聞出版)は、1988年の5月24日号が創刊号で、評者は一時の中断があったが、創刊号から購読している。また、朝日新聞は子どもの頃からの読者だ。朝日新聞やアエラで、近時「スカッと」することをウリにしている記事には、残念ながらあまり共感できないことも多いが、ある意味、朝日新聞やアエラの軌跡とともにこれまでの人生を歩んできたという気持ちがある。

   そのアエラでは、最近の傾向に逆らう巻頭コラム(隔週掲載)に、優れたジャーナリストとして存在感を高めている石戸諭氏を聞き手として、自身の2010年代の格闘を振り返った近刊「ゲンロン戦記~『知の観客』をつくる」(中央公論新社)が好評な東浩紀によるものがある。

新たな医療体制を考えることが重要

   最新号(2月1日号)では、「短期間我慢すればコロナ前に戻れるという発想が『現実逃避』」と題して、最近の風潮に警鐘を鳴らしている。「無感染者が多く感染力の高いコロナは封じ込めが難しい。・・重要なのは、・・目の前の数字に一喜一憂することではなく、新たな医療体制(評者注:感染者増に耐えるように医療体制を変える)を考えることのはずだ。なぜそのような議論が中心にならないのか、理解に苦しむ」とし、「残酷な現実にそろそろ向かい合うべきではなかろうか」とする。

   昨年春マスクの供給が足りないときには、日本は、官民協調してマスクの提供・増産体制を整えるためかなりの資源を投入した。既存のメーカーのほか、ミネベア、アイリスオーヤマ、サンヨーなども参入した。この間、産業界が、マスクは供給できないから外出するな、と国民に命じただろうか?「供給が追い付かず、増産に努めている。ご迷惑をおかけして申し訳ない」というスタンスだったと記憶する。一方、医療サービスについては、客観的にみて、欧米先進国に比べて国民の努力もあり感染者数などはけた違いに少なく、過去には医師優遇税制も受けて構築されてきた優秀な医療体制のはずが、業界団体である日本医師会は、危機時の供給不足について反省を示すどころか、上から目線で国民に我慢を呼びかける始末だ。これに迎合する論調が主要なメディアで氾濫し、政府は、コロナに関連する法改正はいまの危機が落ち着いて検証してからとの方針を変更し、統制強化を内容とする法改正に踏み込んだのだった。

   この点については、日本経済新聞のコロナについての冷静な報道ぶりには最大限の敬意を表したい。1月23日付朝刊の1面トップ記事は特に注目すべきものだった。「『専門医ゼロ』重症施設の2割に 首都圏、コロナ入院困難 人材の集約・育成急務」とし、「公的病院や大学病院を軸に施設が整った病院をコロナ重症者の治療拠点とし、専門医を集める必要がある。コロナ以外の重症者の受け入れ病院と役割分担すれば医療資源を効率的に活用できる。」と提言し、「入院拒否への刑事罰は厳しすぎないか」と関連法改正の内容の一部に明確に反対の社説を掲げた。同じ日、朝日新聞は「『入院拒否に懲役』閣議決定」と報じ、社説では「疑問がつきない政府案」として、社説が、政府批判をしながらも、医師会などには注文をつけず、医療体制をどう具体的に変えるべきかという提言もなかった。新聞は権力のチェックを行うのはその本質に関わる重要な仕事である。ただ、社説においては、あいまいで感情的な批判を行うのではなく、どうすべきか、という具体的な提言を行うべきではないだろうか。

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