悪質な転売対策で新作の画像使用禁止 アパレルブランド「無在庫出品」許さん

   人気ゲームといった新商品が登場するたび、フリマアプリ「メルカリ」での高額転売が話題となる。こうした状況を見過ごさず、販売者側が転売対策を講じる例がある。

   アパレルブランド会社の「remer」(東京都渋谷区)は2022年6月19日、「悪質な転売行為」への対策を打ち出した。

  • フリマアプリでの無在庫転売に対策 (写真はイメージです)
    フリマアプリでの無在庫転売に対策 (写真はイメージです)
  • 近ごろ高額転売が相次いだというremerのシャツ(画像はJunさんの提供)
    近ごろ高額転売が相次いだというremerのシャツ(画像はJunさんの提供)
  • フリマアプリでの無在庫転売に対策 (写真はイメージです)
  • 近ごろ高額転売が相次いだというremerのシャツ(画像はJunさんの提供)

高額転売対策へ

   「remer」は、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」内で展開されているブランド。公式インスタグラムでは5.1万人のフォロワーを抱える。同インスタグラムやツイッターで19日に「新作発売開始直後に多発する悪質な転売行為への対策」を発表した。

   それによると、まず「手元にない商品の出品はフリマアプリの利用規約違反」だ。事実、「メルカリ」や「楽天ラクマ」「PayPayフリマ」ではこうした出品は利用規約で禁止されている。

   これに伴い、新作の発売開始日から2日間は、同社が作成・掲載した商品画像の無断使用を禁じるとremerは説明。公式の商品画像を使用し、無在庫の状態で新作を出品する行為に対策を講じた。「悪質な場合は著作権侵害とみなし民事上の責任を問われる場合」があると付け加えている。

   J-CASTトレンドは、remer代表のJunさんに取材した。同社では新作の衣料品をユーチューブでも宣伝しているが、ユーザーから好評を得た衣服はすぐに完売する可能性が高いのだという。こうした商品は、定価の「2~3倍の価格」で数十件ほど、フリマアプリで転売されてきたと話す。

   「ブランドの規模感が大きくなるにつれて高額転売への対策はひとつの大きな課題でした」とJunさん。最近でも数量限定アイテムの買い占めが多発していると続ける。一方、ZOZOTOWN上のみで販売を行っているなか、同社の判断のみでは悪質なユーザーの特定や購入の制限をできずにいたと明かす。

   早急にできる取り組みとして、今回発表した画像の使用制限に至った。

最終的に転売を減らせるかも

   Junさんによると、高額転売を行うユーザー、いわゆる「転売ヤー」の行動は複数の形態が考えられる。

   ひとつが、新アイテムの発売後すぐにZOZOTOWN上で購入し、商品到着前からフリマアプリに無在庫出品をするユーザーだ。

   ただ、数種類限定アイテムや人気商品の販売時には、「(ZOZOTOWNの)カート内に商品を確保したまま、購入手続きへ進んでいないケースが非常に多い」という。

   つまり、カート内に新商品を一旦は入れた後、購入を確定せず転売品の売れ行きを様子見するユーザーの存在も考えられるという。こちらのケースの場合、転売の相場を見て、高額で売れると確信した後にカート内の商品の購入手続きに踏み切ると予想される。

   一方で、商品画像の使用制限を行えば、通常のフリマアプリユーザーにとっては購入するか判断するための「検討材料」がなくなるため、転売品が売れなくなる可能性がある。すると、カート内に商品をキープしていた「様子見」ユーザーも、「売れないなら諦める」と判断し、大量保有していたアイテムを在庫にもどし得る。

   こうした流れから、今回の対策を通して「最終的に転売は減るのでは」と考えたという。これまではSNS上で自由に使ってほしいとの思いから、画像の使用制限は設けていなかったとのことだ。

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