「サイレント」の「スーパー・スプレッダー」
NHKの報道によると、コロナ陽性者のうち無症状の人は約2割だという。これは、東京都の調査によるもので、21年11月から22年1月15日までの2か月半に感染が確認された5万1848人について調べたところ、検査で陽性と判明した時点で無症状だった人は1万315人にのぼる。
厚生労働省の調査報告では、無症状の人が感染させる可能性は完全には否定できないが、本人の免疫機能により、ウイルス量の増加は抑えられている。また、症状が出現していない場合は、ウイルスの排出量が少ないことが予想され、感染させる可能性は完全には否定できないものの、感染性は低いと考えられる、とされている。
しかし、無症状=感染力が弱い人、とも言い切れないようだ。世田谷区が20年10月以降、区内の約2万人の無症状者を調査したところ、78人が陽性と判明。そのうち約3割の27人は多めのウイルス保有者だったことが分かっている。
感染症の世界では、いわゆる「サイレント」の「スーパー・スプレッダー」がいることが知られている。中でも有名なのは「チフスのメアリー」と呼ばれた米国人だ。本人は全くの無症状だったが、周囲にチフスを広げたことで知られている。