首都圏の私立大学に、2022年に入学した新入生の経済負担状況が、東京地区私立大学教職員組合連合会(東京私大教連)の「私立大学新入生の家計負担調査」調査で分かった。23年4月5日に発表された結果によると、「自宅外通学者」の「受験から入学までの費用」は226万円で過去最高を更新した。バイトせざるを得ない実態この調査は、東京私大教連が1985年から新入生の家庭を対象に行っている。今回は、関東地方4都県の11大学・短大の約4200人から回答を得た。「家計負担」は、宿泊なども含めた受験費用やアパートなどの敷金・礼金、生活用品費などを含めたもの。調査対象世帯の「税込年収」は、全体平均で963万円。毎月の仕送り額は8万8600円。仕送り額から「家賃」をのぞいた生活費は2万1300円。1日あたりの生活費を算出すると710円しかなく、アルバイトをやらざるを得ない実態が浮き彫りになった。学費などの「入学に必要な費用」を借入れした家庭は14.3%。「借入額」の全体平均は、196万8000円。自宅外通学者の「借入額」は212万円にのぼった。日本学生支援機構などの奨学金を「希望する」は全体で53.7%だったが、実際に奨学金を「申請した」のは53.3%にとどまった。希望したものの申請しなかった理由は、「申請基準にあわない」が51.0%。次いで「返済義務がある」が22.0%だった。家庭の教育費負担は限界日本では大学生の75%、約226万人が私立大学・短期大学で学んでいる。学校数でも82%を占める。学生1人当たりの公財政支出(2021年度)を国立大学と比較すると、国立大学では学生1人あたり231万円(運営費交付金・施設費・その他補助金)が支出されているのに対し、私立大学はわずか18万円(経常費・施設設備費等の補助金)。国立の13分の1にとどまっている。東京私大教連は、私立大学への公的補助があまりにも少ないため、私立大学の学費は高く、家計の負担が非常に大きくなっていると指摘。とりわけ、コロナ禍や諸物価高騰が深刻な影響を及ぼしており、各家庭の教育費負担は限界に達しているので、国による私立大学生への経済的支援が急務だとしている。日経新聞のインターネット調査(3月上旬)によると、ぜひ実現してほしい「こども政策」の1位は「国公立の小学校から大学までの無償化」、4位が「私立大高中の入学金廃止・大幅減額」、5位が「奨学金の返済負担を軽減」となっている。
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